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時は平安。人間と化生の間に生まれ、類稀なる力を持つ安倍晴明。神である十二神将を使役に下した噂は瞬く間に広まった。しかし事あるごとに、神将を奪って名をあげようとする陰陽師たちから襲撃を受けてしまう。さらに晴明も神将の圧倒的な力にあてられ、心身共に負担を強いられていた。そんな折「内裏で宴を開くので、帝と大后並びに貴族の面々に十二神将を披露せよ」という命令が下りーー?
新説・安倍晴明伝第2弾‼︎「bookより」
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コミックスは本書のコミカライズ版です
まさか、コミカライズで本書が読めるなんて感激!
小説が苦手な人は、コミックスの方からでも本書を知っていただければ、一読者としては嬉しいです
小説の文体にしか分からない感情の描写が、小説にはあると思うんです
晴明はちゃんと考えている男なんです
その心持ちは小説に事細かに描かれているいます
ちゃんと考えている描写、比喩表現が素晴らしいのが、この本の読み応えなんだと思います
『その冥がりに、華の咲く』感想
晴明と十二神将の、想いの行き違い
晴明にイライラする十二神将
十二神将に心を開かない晴明
これが悪循環にグルグル周り収集がつかなくなって、またイライラしてしまう
でも、本当はいろいろ考えていた晴明
想いの行き違いがもどかしい。
言葉では言わない、でもそれぞれを想ってる。
誰も巻き込ませない意思。晴明はやっぱり晴明だ。
晴明が神将たちを異界に下がらせる場面
冥がりに染まった晴明に、神の末席たる神将たちが従いことは、ありえない。そんな道理はなく、そんなことになれば彼らの矜恃には地に堕ちる
それだけはしてはならないだろう。それが晴明の矜恃だ。
この文章だけで「守る」という意志が感じられます
ほんの短い期間の間柄。どんなに疎んでいても、「神」を「神」のままに。
晴明は陰陽師であり、綺麗で澄んだ気持ちを持っている男
きっと、自分では決してなれない、届かない場所だと思っているのだろうと思います
だから、自身の化生の血で汚してはならない存在。
晴明の中に神将たちを「守ろう」という気持ちはないのかもしれません
晴明の気づかない気持ちの中の行動のあらわれ、
そんな文章だと思います。
本当の守りたいのは、ただひとり
晴明はこれまで、自分は彼岸に近いと思っていたが、人の向かう彼岸ではなく、魔の物の蠢く冥がりこそに呼ばれていたのだと知った。
だから、手をのばすことはもうできない。
(中略)
思い出すことは心を向けることだ。心を向ければ晴明の冥がりに彼女にも及ぶのだ。
守りたい若菜を救う時
ここは冥がりの底。
現世から切り離された、化生の住む異界。
いまならば、きっと許される。二度と関わらない、触れることもないと誓ったのは、光の下だったから。
光の射さない冥がりの底で何があっても、誰も見咎めはしない。
ここでは、晴明自身しか晴明を裁かない。
(中略)
狂おしいほどに、焦がれて焦がれて、ただ焦がれて。
これが最後だ。
冥がりに囚われたその心を、光の射す現世に戻す。
代わりに、この心は冥がりに置いていく。
この身ごと、この命ごと、冥がりに置いて逝く。
純愛
これを純愛と呼ばずに、なんと呼ぶのか
「思い出さないこと」が「守る」ことに繋がるなんて、今の時代では考えられません
これは平安の時代の、妖がいると信じられた時代だからこその、気持ちの向け方なのかもしれません
光の下では結ばれないと思っている晴明
でも冥がりの底ならば、、、、と晴明の想い強さ、頑なさが感じられます
本当に結城先生の文章が好きだなと感じられる本書でした
読んでいて、「少年陰陽師」の晴明の好々爺っぷりは岦斎を真似ているのではないかと思いました(予想)
この本書を読んだ後に『少年陰陽師 闇の呪縛(を打ち砕け)』読んでみた時面白いことが分かりました
本書中では、十二神将・青龍は晴明に反発をしているのですが
『少年陰陽師 闇の呪縛』では、末孫の昌浩に反発?拒否?をしていたのです
主と認めたのは晴明だけだ!
とも言ってます
同じ2巻で真逆のことを言っていました
その描写も『少年陰陽師 闇の呪縛(を打ち砕け)』に少し載っていました
彼らに何があったのか!
まだその辺りは明らかにされてないので、その場面が楽しみです
『その冥がりに、華の咲く 陰陽師・安倍晴明』あらすじネタバレ
使役に下したその後
十二神将を使役にしてからひと月
晴明の周りは騒がしくなった
どこかの守宮が「禍が起きているから、お前が原因だから鎮めろ」と忠告したり
十二神将を奪い、名をあげようと、晴明に挑むものが増えたり
その上、十二神将の神気が晴明の気力と体力を奪っていました
十二神将は、主の器の分しか力を発揮できない
晴明と十二神将の力のバランスが、十二神将側に傾き、制御しきれていませんでした
十二神将の噂は、偉い方の耳にまで入りました
(自称親友の)岦斎が師匠のお使いで、晴明に手紙を渡しに来ました
内容は「宴の席で、帝と大后、貴族たちに、十二神将を披露せよ」と命が下った
この手紙に、そばにいた太陰と玄武はもちろん怒ります
「すぐに断りの文を書け」と晴明に迫りますが、そう簡単にできませんでした。
この手紙は、師匠を経由して来た
それは、これを断ると晴明の知人に政力的な圧力がかかる、という意味もありました
どうするか思案している時、ひとりの女が安倍邸を訪ねてきます
女は、橘邸の使いの者。名は荷葉(夏に用いる香りの名前)
姫の若菜の不調を調べて欲しいと、若菜の祖父からの依頼で来たようでした
若菜の気持ち
橘邸
若菜は、自身の不調が妖が近くに寄ってその妖気にあてられている事だと気づいてました
妖は怖いもの
その恐怖心が、会いたいと思っている晴明に感じてしまう事にも恐れていました
晴明は、荷葉に言われ橘邸に訪れました
若菜の祖父は、若菜の様子から原因を突き止めて欲しい、とお願いします
荷葉は若菜のもとに案内する時、晴明に牽制をします
「姫に、貴方は相応しくない」と
晴明はその牽制には応えませんでした
その行動に、狸寝入りしていた若菜はショックを受けていました
応えなかった晴明に
そして晴明に怯えてしまった自分に
十二神将の気持ち
翌日
晴明は出勤した帰り、牛車が無数の影(=蟹)に襲われているところに出くわします
蟹は勝手に出てきた十二神将・青龍が蹴散らします
→晴明は青龍が出てきた事により、ゴッソリ体力と気力が向け落ちる
蟹に襲われていたのは、藤原一門でした
後から来た岦斎にその場を任せ、帰り布団に倒れ込みます
翌朝
晴明は「休め」と「心を偽るな」と小言を言ってくる玄武と言い合い
出かけようとした時、昨夜の蟹に襲われてしまいます
岦斎のもとに太陰が晴明の休みの旨を知らせに訪れていました
岦斎はここひと月の晴明と十二神将の様子を見て、十二神将に苛立ちを持っていました
晴明を慮っらない十二神将に
十二神将がそんなに偉いのかと
晴明自身を見ろと
太陰に訴ました
晴明は襲われた後、気を失い、目に傷を負わされ目が開けられませんでした
気配で周りを探り、神将たちを探します
晴明は、晴明の不甲斐ない姿に神将たちが怒っているかと思っていました
でも、神将たちは何も言ってこない。晴明を心配した様子でした
見えなくなって初めて、神将のことが視えた気がしました
神将たちも、晴明が襲われ傷をおった事に「離れるべきではなかった」と後悔していました
太陰も、岦斎に言われたことと反芻していました
言われたときは暴言としか思えなかったが、冷静になって、晴明が襲われて、後悔しました
十二神将の異界では、晴明のことで青龍が天空に激昂していた
途中、勾陳が間に入り青龍は去ります
でも勾陳も青龍ほどではないけど、晴明には思うところがあるようです
他の神将たちも
でも唯一騰蛇だけが、晴明のことを「待っている」と
大輪の華
晴明に助けられた藤原一門の敦敏が邸を訪ねにきます
助けてくれた礼と
手紙の件の宴に出席するようにと
敦敏は、手紙で「十二神将を披露せよ」と命じた親戚筋だった
目の視えない晴明を無視して、一方的に「宴の5日後、迎えにくる」と告げ去って行く。
そんな敦敏の態度に、玄武は怒っていた
晴明の容態を心配しないその態度に、塩をまくほど怒っていました
なのに敦敏は帰りがけに例の蟹に襲われ、、、、
晴明は「恩を売るために助けてこい」と玄武に命じます
最初は駄々をこねる玄武でしたが、命とあらばと敦敏のもとに向かいます
でも、蟹と水将の玄武では相性が悪く、蟹を蹴散らしたのは火将・朱雀でした
晴明は、見えない目で占をします
玄武の神気を伝い呪詛を術者に返そうとしましたが、別の力が加わった状態で晴明に返ってきてしまいます
気を失う直前、晴明は大輪の華の化生を見ました
晴明の気持ち
5日後の宴の日
晴明はまだ目が見えていませんが、宴に参加します
占で、宴の日に原因の妖が出る、との結果があったからです
十二神将は異界に下がらせました
呪詛が返った日から、晴明の魂の半分は冥がりに囚われていました
冥がりに堕ちれば、神将たちにも影響が及んでしまうため、晴明のそばを離れさせました
晴明は、渾身の術で甘い香りを放つ化生の大輪の華を吹き飛ばします
力を使い果たし、あとは冥がりに沈み、冥がりに囚われた若菜を救うだけでした
晴明の願いは、若菜を守ること。ただそれだけ。
晴明は若菜を救ったあと、そそまま逝くつもりでした
冥がりから救い上げられるのは、現世に押し戻せるのは、同じぐらいの冥がりを持つもの
晴明を救い上げたのは、十二神将・青龍の、神の光でした
妖を引き寄せてしまう原因の若菜の命を断とうとしていた、荷葉。
若菜は冥がりから救われたことで、その冥がりも晴明が退治したことで、荷葉の目的は無となりました。
美しい花
宴の日から10日
晴明の目の傷は、荷葉が癒し、消えていきました
そばには十二神将の青龍がいましたが、来訪者により異界に戻りました
その来訪者は、元気になった若菜でした
晴明のことがずっと心配で、やっとこれた、と。
晴明は目を開き、大輪の華より美しい花を見たのでした
おわりに(この後の妄想)
きっと目が開いたあとの晴明は、固まって動かなくなって、若菜を困らせるだろう(予想)
1巻同様、タジタジになっていると予想します。
十二神将たちはそんな二人を微笑ましく見ているのではないでしょうか
きっと太陰は「もっと押せーーーー!!!!」とエールを送っていろことでしょう(笑)
岦斎は、こういう時のタイミングでは来ないような気がします
察知はしてそうですが。
邸に来ても、十二神将に追い返されそうです(笑)
それとも、なかなか会話が続かなそうな2人の間に入るのでしょうか!?
どちらでも面白いような気がします(^^)
十二神将はきっと2人のキューピットではないか?、と読み返しているときに思いました。
平安ならでは?の、純愛な2人
しかも、本書では話しかけはしたけど、会話をしていない?!
っと、今!気づきました!!!
2人のことを描いたストーリーのはずなのに、肝心な2人が会話をしないまま本書が終わってしまいました!!!
ビックリです!
なのにボリュームはたっぷり
そんな純愛な本書、ご興味があれば是非、手にとって見てください(^^)
漫画も出てます!!!