すでに刊行されている『少年陰陽師』の始まりとも言える、
昌浩の祖父・安倍晴明と十二神将との出会いの話。馴れ初めの話です
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時は平安。陰陽師として類い希なる力を持っている安倍晴明。ある日、押しかけ親友榎岦斎の誘いで賀茂祭を見に行った彼は、牛車の暴走に巻き込まれた橘の姫を助ける。ところが彼女は、底知れぬ力を持った化け物に憑かれていた。外つ国からきたという、その化け物を倒すため、晴明は十二神将を式神として対抗しようとする。しかし、十二神将は人の思いが具現化した神。人が御することなど不可能と言われる伝説の存在だったーー。
2020年8月に本書のコミカライズ単行本が発売されます!!
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是非、そちらからでも良いので手に取っていただけるとファンとしては嬉しいです(^^)
『我、天命を覆す』の感想
人間を忌み嫌っていた青年・安倍晴明が恋を知った話。
「少年陰陽師」の主人公の昌浩の祖父・安倍晴明の若かりし頃の、のちに奥さんとなる女性を助ける話です
その中で、「少年陰陽師」の中ではすでに使役している神様・十二神将との出会いの話でもあります。
この本書を読んだのは3回目(2020年時点)なのですが、読むたびに印象が変わってきます。
初めは、十二神将との出会い方にワクワクしました
2回目は、昌浩のじい様ばあ様の馴れ初めにドキドキして
3回目は、人間を忌み嫌っている晴明が、恋を自覚して愛しの姫を助けることに純愛を感じました。
夢枕獏さんの「陰陽師」の中の晴明様はもっと冷静で淡々としている印象ですが、こちらの晴明は常に怒っています
本書の9割は怒っていたような気がしました(笑)
「少年陰陽師」の晴明は孫の昌浩を可愛がる好々爺なのですが、本書で常に怒っている晴明がどのように穏やかな好々爺の晴明になったのかが、今後も楽しみです
登場人物が多いですが、それがテンポ良く会話が進みすぐに読んでしまうはずです(^^)
私は、結城先生のタイトルも好きで、「少年陰陽師」のサブタイトルは命令形と法則があったらしく、、、、
今回は命令形ではないのですが、とてもシンプルで、「あぁ、晴明が天命を覆すほど、何かに一所懸命になるのだな」というのがタイトルからも分かります
騰蛇「人は己れの中にあるものだけを相手の中に見る。己れの中にないものは決して見出せない」
十二神将最強は、同胞の神将たちにすら恐れられています
晴明も都の貴族たちから、力としては頼られているが、その出生から真実の知らない貴族たちの憶測で恐れられています
それは、周りの人間から忌まれて疎まれている自分と一緒ではないかと
晴明は、十二神将最強に恐れを超えて、己れの中と同じものを見出した、と感じました。
同じ思いをした人にしか、その思いは分からない。
そんなことが分かる一文です
あらすじネタバレ
不穏な陰
橘邸
橘の姫とある公達が会っていた
公達は姫に求婚をしていたが、姫はそれを断る
公達は姫に気分転換に祭りに行かれてはと勧め、去っていった
祭りでの事件・姫との出会い
安倍晴明は、最近いつも付きまとってくる兄弟弟子の榎岦斎と共にお祭りへ行く
(晴明は祭りに行くつもりはなく、岦斎に無理矢理つれて来られた)
祭りを見にきた貴族の牛車と祭礼の行列
祭りの最中、事件は起きます
突然、貴族の牛車の牛が暴れ出します
その牛が暴れだす前、晴明と岦斎は不穏な気配を感じてました
晴明は、暴れている牛を止めようとした時
牛車の中にいる少女と一瞬ですが目が合いました、それは一瞬のこと
晴明は暴走している牛の足元に、人には見えない何かが絡みついていました
牛の背中には黒い影がいました
その影は、得体が知れなく、おぞましい気配をまとっていました
影は、晴明の霊力で蹴散らしました
牛車の中にいた少女は気を失っていましたが無事でした
橘家
翌日、晴明宅には文(=手紙)が届いていました
晴明宅に勝手に上がり込んだ岦斎は手紙を読みます
手紙の差出人は、祭りの牛車の少女の家の祖父母からでした
少女は橘家の姫でした
その手紙には、バケモノ退治の依頼が書かれていました
牛に乗っていた黒い影は、姫を狙っていました
年が明けてから姫の周りでは怪事が続いていて、
色々な祓い屋、僧侶に解決を依頼しましたが怪事は止まりませんでした
ある術者によって、怪事の原因は姫を見初めたバケモノが仕組んだことと分かりました
晴明は昼間に橘の家に訪れていて、姫の祖父母に「バケモノから姫を助けてほしい」と頼まれていました
晴明は祖父母の頼みに対して頷きはしませんでしたが、拒否もしていませんでした
岦斎が帰った後、助けるための手立てを考えていました
その時、部屋にあった六壬式盤に書かれている神の名を見ました
十二神将召喚の儀
晴明は姫を狙うバケモノを退治するには、十二神将の力があれば倒せると直感で感じました
でも十二神将を召喚をするための方法はどこにも載っていませんでした
師匠も知りませんでした
祭りの日からすでに7日は経過していました
晴明と岦斎が務める陰陽寮に晴明は出勤していませんでした、岦斎は師匠に頼まれ仕事の帰りに晴明宅の様子を見に行きました
晴明宅は結界に囲まれていました
門の中は地が振動していたが、結界の外には音が遮断されていました
邸の北側で、晴明は十二神将召喚の儀を失敗を重ねていました
岦斎は晴明宅を去り、橘の家に向かい姫と会いました
姫は、バケモノの怪事のことに対して諦めていました
岦斎は姫の天命やら運命を受け入れていることに、腹が立ちました
何より、人間を嫌っている晴明が頑張っているのに、姫が諦めていることに腹が立って「足掻いてくれ」と伝えました
岦斎は姫のそばに置いてある香炉に気づきました
それを岦斎の直感は”危険なもの”ととらえ、代わりに晴明特製の魔除符を渡します
晴明は自宅では十二神将は降りてこないと気づき
神聖な地、霊峰貴船に移動します
そこで最後の渾身の力で、晴明は十二神将の召喚に成功しました
十二神将
召喚された神将の一人は人間の姿をした老人でした
「何故、我らを使役と望むのか」
「強いていうなら、バケモノが気に入らない」
神将たちは
「自分が誰か誰か当ててみろ、誤ることは許されない」
晴明はこれを12人と繰りかえしました
素直に使役になってくれた者もいれば、敵意を剥き出しに挑む者もいたり、精神的に言葉攻めきたり
容姿も様々、最初の老人のような者、少年、少女、美女、筋骨隆々の青年、細身の青年。
でも皆んな、顔は整った美男美女でした
性格もに十人十色、十二人十二色
十二神将を使役にして接していく中で、晴明は何故自分が姫を助けたいのかを知りました
姫を救出
晴明が十二神将を使役している時
岦斎は橘の姫から預かった香炉を師匠の賀茂忠行に見てもらっていました
忠行は、この香炉は外国のもの、心を壊すための香りに似ていることを知っていました
その後香炉は爆発し、2人はそれに巻き込まれます
岦斎は気がついた後、すぐに橘の家に向かいますが
姫は連れ去られた後でした
姫が連れ去られたのは鳥辺野、葬送の地と言われる所でした
岦斎と神将を全員使役とした晴明は鳥辺野に向かいます
公達は、あの祭りの日の黒い影でした
正体は人の血を吸う妖怪、鬼人
鬼人は遥か昔に、殺された愛しい人と死別した
その魂が、橘の姫に奥深くにあるという
橘の姫は、その魂の器として選ばれた
晴明は鬼人の身勝手さに激怒した
十二神将や途中で参戦した岦斎と共に鬼人を退治する
姫は救われました
おわりに
その後、晴明はきっとタジタジで橘の姫を邸に送り届けることでしょう(予想)
十二神将たちと晴明の対話も読み応えがありますが、晴明への問いも感情の機微も見もです、読み応えがあります
とっても愉快な対話です
もちろん、(自称晴明の親友)岦斎と晴明の(岦斎の一方的)対話も面白いです
好々爺の晴明を読んでから本書を読むとなお面白いので、「少年陰陽師」→「我、天命を覆す」を読むのがオススメですが、こちらから読んでも大丈夫です!
手っ取り早くは、「少年陰陽師」はアニメにもなっているので、「読むのが大変だなぁ」と思う方はアニメを!
孫の活躍も見ものです!
是非、読んでみてください(^^)