『陰陽師・安倍晴明』シリーズ第3弾!!
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一人の女性を助けるために、力を欲した一人の男。
人嫌いの男が、一人の女性を想い、護る、純愛小説です!!!
時は平安。類稀なる力を持ち、神々の末席に連なる十二神将を式神とした陰陽師・安倍晴明。ある日「十二神将・青龍をお貸し願いたい」と謎の男が現れる。不審な申し出に警戒する晴明。その頃都では、銀の雨とともに現れる白い面の妖が、若く美しい姫君を狙って襲う事件が起きていた。事件を調べることになった晴明だが、妖の魔の手は橘若菜のもとにもおよびーー!?
人と化生の間に生まれた安倍晴明の新たなる物語、第3弾!「bookより」
『白き面に、囚わるる』感想
晴明 と 若菜
心を互いに ” 囚われた ” 男女の話
もちろん晴明と若菜の恋路も含まれております
ただ、おそらく晴明たちの進展はしていないです
前巻『その冥がりに、華の咲く』では、声掛けぐらいはあったのですが
本書では会話もなかったです
なんなら、顔すらも見ていません
でもお互いにお互いを想っている想いの強さは、とても感じられます
やっぱり純愛です。
彼女を護るために、自分と関わると冥がりに彼女を巻き込んでしまいから
二度と関わりを持たないままでいたい
護るために関わらないなんて、現代では考えられませんよね
現代の漫画でも「離れないで、傍で守ってよっ!!!」
ぐらいのセリフはありますね(笑)
でもその厚かましくない想いが、声にしない想いが、とても痛く感じてしまいます
本当は「周りなんか気にせず、はよくっつけ!!!」
と(自称・晴明の親友)榎岦斎の様に言ってしまいたくなるのも本音ではありますが(笑)
晴明と若菜の恋路に対してはお互いの心がお互いに ” 囚わるる “ がキーワードでした
晴明 と 青龍
今回は十二神将・青龍と晴明の関係も読みどころです!
誰も名を呼ばなければ、それはどこにもないものだ。
名とは、それを形作るもの。
それが何かを決めるこの世でもっとも短い呪なのだ。
が、キーワードなのかなと思いました
その中でも
本書で起こる読み返したくなる場面
- 消えてしまうと思った青龍に対して、こみ上げるものが
- 青龍に唯一の名を与える
- 晴明が青龍に笑った
- 晴明が離魂の術を使って若菜を助けに行く
上の4つの場面は、今後不意に読みたくなりそうな場面だな、と思いメモです。
十二神将は使役になってもらう時、それはそれは苦労した出来事でした
(詳しくはシリーズ1『我、天命を覆す』を)
その上、十二神将の中でももっとも扱いに困っていたのが青龍でした
十二神将・青龍は、矜恃を重んじる潔癖な神様です
だから、妖まじりの晴明を疎んじていました
それは日々の態度にも出ていました、表情も冷徹です
そんな青龍が、消えてしまうかもしれないと思った時の、晴明のふつふつと込み上げる想いが1ページに渡って書かれている
どれだけの想いを溜め込んでいるのだ、とニヤニヤが止まりません(笑)
この後に、青龍に名を与えたり、晴明が十二神将への初めての笑みが青龍だったり、離魂の術を使って魂だけで若菜を助けに行ったりと、読みどころが残り40ページに詰まっています!!
ニヤニヤしたり、鳥肌が立ったり、と表情も気持ちも忙しいラスト40ページでした(^^)
晴明 と 雑鬼
「 一つ火 」を夜に灯した晴明が雑鬼たちに言われた
雑鬼「人の括りの中に留まりたいなら、一つ火なんてやめておけよ」
と、言いながらも晴明を妖の領域に側に引き込みたがる雑鬼ーズ!
引き込みたいけど、留まらせてあげる優しさ、結構好きな場面です
「止める、俺らって優しいだろ!」って声が聞こえてきそうです(笑)
今回は「 一つ火 」の神話のお話も折り混ぜでした
まさか、伊奘冉と伊奘諾のお話が出てくるとは思いませんでした
〈 闇の中の「 一つ火 」 〉は、不吉 で 禁忌
・恐ろしいものが、その光に照らされる
・見てはいけないものを、その火が照らして暴き出す
記紀『黄泉比良坂の段』のお話
さすが陰陽師のお話
より神秘性と言いますか、「 より闇に近くなってしまうからやめろよ 」ってことが言いたいのだと思います
白い面 と 銀の雨
今回の不思議な現象
年頃の少女のもとに 銀の雨が降り、白い面が宙に現れる
ただそれだけの現象
少女たちの害は、指に赤い痕が残ること
これにまた、若菜が巻き込まれ、晴明は会わずに彼女を救います!!!
おわりに
彼らは「 囚われて 」います
お互いの心がお互いに、、、、
でも、周りの思いや、本人の出生の煩わしさが、お互いの心にブレーキをかけてしまっている。
本当はそばにいて欲しい、護りたい、と思っているのに。
この2人の想いがどの様に形になるのか。
次巻は、会話をして欲しいです!!!
2巻3巻続けて会話しない、純愛•妖奮闘記小説です