小説

『塩の街』(著・有川浩)自衛隊シリーズ 第1弾 感想考察

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塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だがーー「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。『空の中』『海の底』と並ぶ3部作第1作にして有川浩のデビュー作! 番外編も完全収録‼︎

「bookより」

変わる前の世界なら絶対に交わらない、自衛官の男性 女子高生

変わった世界で交わった世界で

世界を救うお話です

『塩の街』感想

おもしろさ  
読みやすさ  
キュンキュン 

天災?に立ち向かう、自衛官と女子高生の恋の話です

 

 

2020年、私たちの世界は新型コロナウイルス感染症にさいなまれています。

 

本書では、宇宙から侵略してきた塩の塊に世界が崩壊続けていました。

 

侵略してきた塩の塊(=結晶)

塩害と呼ばれる天災に

人間の体は塩化してきてしまう

最後には西洋彫刻のような塩の塊に人間もなってしまう

恐ろしい世界

 

似ているようで、似ていない世界。

 

でも、この似ているようで似ていない世界同士で共通するの「 感染症 」と言うことでした。

 

飛沫で感染すると言われている私たちの世界。

 

塩の塊(=結晶)を視ると感染すると言われる本書の世界。

 

 

初めて、この本を読んだのは20歳を過ぎて、まだ専門学校に通っていた時でした

 

その時とは違った感情で、2020年の今、読み終えました。

 

 

 

有川浩先生の恋愛小説は、甘々を超える ” 極甘 ” の小説と言われています

 

本書『塩の街』は「純愛」「愛」ではくくれない、「想い」溢れる小説

 

最初は、変わってしまった世界にお互い依存があったかもしれません

 

次第に、依存は相手が

欠けたら痛い一部

となった存在に。

 

この表現は有川先生だな、と思いました

 

思っても文字に表現できない気持ちを表現してしまう力。的確なのでは。

「失いたく無い存在」
「ずっとそばにいたい存在」
「好き」
「愛してる」

そんな愛の言葉が詰まっている言葉だと思いました

 

 

『 愛は世界を救う 』のキャッチフレーズについても

本書を読んで、考えを改めさせられました

愛は世界なんて救わない。賭けてもいい。愛なんてね、関わった当事者たちしか救わない。救われるのは当事者たちが取捨選択をした結果の対象。
(中略)
僕らが救われるのはそのついでさ。君たちの恋は君たちを救う。僕らは君たちの恋に乗っかって余禄に与かるだけ

 

「愛が世界を救う」なんて、抽象的で、現実味がない、主人公たちのエピソードしか観ていない現象の結果だと気づきました。

 

「愛」とは限らないかもしれませんけどね

 

アニメでのストーリーでは、地球を救うために死力を尽くす戦士たち。

「愛」かもしれないし「友情」かもしれない。

「使命」もある

 

でも実際に救った側の事情は救った側の当事者にしか分からない。

結果、世界は救われた。

 

救われたと分かったその他大勢は喜びに浸り、救ってくれた人たちを確実に知ることは不可能に近い。

 

そのまま、なあなあになって日常生活を取り戻そうとする、、、、、。

 

 

20歳過ぎの大学生には、「確かにそうだ、、、、、」と納得してしまいました。

 

「愛は世界を救う」の文字の羅列をそのまま読むことで鵜呑みにしていましたが、本書を読んで考えを改めさせられました。

 

 

コロナ渦で読んで、、、、

 

未知の生物に、ウイルスに、四苦八苦している

 

壊れてしまった世界で既存のルールは何の役にも立たない。
(中略)
守っても死ぬのだと分かってしまった世界で、一体誰がそんなきれいな約束を守るだろう?ルールを守ることが命を繋ぐ役に立たないと分かってしまった世界では。

 

かつては「そう言うものか」としか思えませんでした。

 

今だから、身に深く染み込む言葉です

 

 

今までの世界は新型のウイルスに壊されてしまった

今までの生活には戻れない

新規のルールの上で生活をしていかなくてはいけない

今はゴールの見えない道のり

 

無理やりゴールを作ってもそれは無意味なものになってしまう

 

 

既存のルールは無意味なものになってしまった世界では

新規のルールや先人の知恵たちしか私たちを守ってはくれない。

 

あぁ、この言葉は今ならわかる。

昔に読んだより、社会を見てきたからかもしれない

新型コロナウイルス感染症にさいなまれている今だから、分かったかもしれない言葉でした

 

番外編で

 

本編は200ページほどで終わります

その後に救われた世界のその後の登場人物たちのお話がありました

 

その中でも『塩の街 その後 -briefing- 世界が変わる前と後 』が染みました。

主人公を支える自衛隊の男女のお話でした

 

世界が変わったあと、彼らは有事として未知の天災に出動していました

 

でも、世界は崩壊寸前

首都圏地域も崩壊寸前

 

携帯電話は繋がらなくなった世界

TVも番組がどんどん終わっていく

 

塩の結晶に近い地域では被害が大きく

遠いところでは被害が小さかった

 

明日の生活、命の保証もないのは自衛隊内でも同じだった

同僚は、どんどん辞めていく

心も荒んでいく

救われない世界

 

身近が塩害の被害者になっていく

いつか自分も感染するかもしれない

1人で死ぬかもしれない世界

 

最期に独りになりたくないから

一緒にいたい人がいる

 

 

自分に対して、人に対して、自分の最期の時の想いが溢れる話でした

未知の生物、ウイルスに怯える私たちの心情

 

「いつか罹るかもしれない」
「感染るかもしれない」
「感染すかもしれない」
「感染したら死ぬかもしれない」

恐怖に支配されて、他人のうまく思いやれない心情

 

きっと今だから、分かる

安全で安心の世界であった時には分からなかった気持ち

 

おわりに

 

変わってしまった世界

 

私たちの世界も変わってしまった

 

フィクションだったものが、ノンフィクションになってしまいました、

 

今だから分かる言葉たち

安全で安心の世界であった時には分からなかった気持ち

 

 

そんな想いがたくさん描かれていました
そんな世界は来ないなんて言ってられない世界になってしまった今、人に優しくしたい想いが描かれているお話です