小説

『夢幻花』(著・東野圭吾)感想 / ある花を巡って五つの家の運命が交差する

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花を愛ながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いも胸に事件を追っていた……。宿命を背負った者たちの人間ドラマ展開していく”東野ミステリーの真骨頂”。第二十六回柴田錬三郎賞受賞作。

bookより

 

「世の中には負の遺産というのがある。それを誰かが引き受けなきゃならないんだよ」

 

おそらく負の遺産に出会っていない、
10代の人たちに勧めたい1冊です!

『夢幻花』感想

  • おもしろさ 
  • 読みやすさ 
  • 後味    

 

個人的に好きな1冊

無性に読み返したくなる1冊です

 

「ある花」を巡って五つの家の運命が交差する小説ですが

  1. 蒲生家
  2. 秋山家
  3. 鳥井家
  4. 早瀬家
  5. 伊庭家

 

それほど複雑に絡み合ってはいません

むしろ読み進めていく中ではとってもシンプルでした

 

読みやすい!!

 

この一言に尽きます!

 

ミステリー小説って、読みにくいより登場人物が多すぎて混乱してしまうのが疎遠されてしまう原因かな、と思うのですが

 

この小説は、ミステリー小説が苦手な私でも、面白く、ページをめくる手が止まらないくらい面白かったです

 

 

話を進めていくメインが少なかったのも、手が進む理由だったと思います

 

家族からの疎外感を感じている蒲生家の次男・蒼太
祖父が殺害されその日に無くなったと思われる花のことが気になった秋山家の長女・梨乃

主にこの2人が話を進めていきます

 

 

実はこの本を初めて読んだのは2016年でした

仕事の同僚にオススメされ、どハマり

 

東野圭吾さんの小説を読んだのもこの本が初めてでした

食わず嫌いはダメですね

 

有名な作家さんだから自分に合わなかったらどうしよう、とも思っていましたがそんなことはありませんでした

東野圭吾さんはじめての1冊にもオススメです!!

 

映像化されるならば、連続ドラマが良いな、と思います
東野ミステリーでも映像化されていないのは多くあるだろうけど、この1冊が映像化が決まった時には飛び上がって喜んでしまうかもしれません

 

世の中には負の遺産というのがある。
それを誰かが引き受けなきゃならないんだよ

 

東日本地震の原発事故の絡みの中にある一文です

とても刺さる一文でした

 

原発の始まりは昔々かもしれない

でも事故は今起こってしまった

 

今後の原発を背負うのは現役の人たち、未来の希望ある人たち

 

でも「未来の希望」を夢に抱いている人たちは、なかなかこの負の遺産になってしまったモノに飛び込もうとはしない。

それにあえて飛び込むのは勇気ある選択だと思いました

 

きっと生きている中で、負の遺産に出会うことがあるかもしれない

まだそれは誰にも分からない、分からないうちにこの1冊を読めて良かったと思いました

 

おわりに

 

今後の彼らの展開も気になる小説でした

 

個人的には

蒼太と蒼太母
蒼太と要介
蒼太と梨乃
蒼太と孝美
要介と孝美
梨乃の復帰戦
早瀬親子

の今後の展開が気になります

 

複雑な家族たちでした

でも事件解明をきっかけに変わるのではないかと思わせる最後でした