小説

『夜のピクニック』(著・恩田陸)感想考察 高校最後の学校行事開幕!

 

2005年

本屋大賞第1位

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学校行事を絡めた青春小説!

私しめも、6回も読んでいるのです

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するためにーー。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

bookより

 

『夜のピクニック』感想

読みやすさ  
おもしろさ  
人に勧めたい 

「読みやすさ」「おもしろさ」は賛否両論のところがあるかもしれません。1つの行事の流れを447ページに渡って描かれているため、粛々と歩いております。

でも、恩田陸作品を読んだ事のない人には、オススメしたい1作です。
「恩田陸はこれならば間違いない!!!」と胸を張ってオススメできます!

 

「いたいたこんな子」って思う懐かしい気持ちにもなれます「学年のアイドル的存在の子」「モテモテの子」「付き合いを秘密にしている特有の雰囲気」「謎の空元気な子、でもなぜか嫌われない子」

かつての学年の友達を思わず想像してしまうかもしれません(笑)

 

お勧めの対象は、若い世代

 

特に読んで欲しいなと思うのは高校生、大学生、20代前半

もちろん、読んだ事のない方にはオススメいたしたいです!が、特に勧めたいのは若い世代の方々。

その理由として、文中の言葉が刺さりました

「だからさ、タイミングなんだよ。
(中略)
だけどさ、雑音だって、おまえを作っているんだよ。雑音はうるさいんだけど、やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、このノイズが聞こえるのって、今だけだから、あとからテープを巻き戻して聞こうと思った時にはもう聞こえない。おまえ、いつか絶対、あの時聞いておけばよかったって後悔する日が来ると思う」

 

この前に、彼はある本を身内から勧められて読むタイミングを間違った!!、と思い「タイミング」と「ノイズ」について語ってます。

 

この本を勧めたいのはまさに「タイミング」
「ちょっとでも早く読んで欲しい」と思う1冊だからです。

それと「ノイズ」について。
10〜20代は特に人からアドバイスを「受ける側」であることが多いと思います。「学びの期間」でもあると思います。

「学び」はいつから始められるものですが、特に多い期間だと思います、

 

成長し、大学に入学、就職活動、入社、仕事を覚える、人に聞く、アドバイスを受ける

 

人との関わりを強く感じる期間、時期。

 

中には煩わしいアドバイス「ノイズ」があると思います

素直に聴けるうちは良い。
でもいつしかアドバイスされなくなった時、昔のことをテープの様に巻き戻すことは難しい。「聞いておけば良かった」と後悔。

 

そんなことにはなって欲しくないのです

なって欲しくないから、「この本」を勧めます

 

好きという感情

 

舞台は高校行事なので「恋愛」についても語らっています

好きという感情には、答がない。何が解決策なのか。誰も教えてくれないし、自分でもなかなか見つけられない。自分の中で後生大事に抱えてうろうろするしかないのだ。

好きという気持ちには、どうやって区切りをつければいいのだろう。どんな状態にななれば成功したと言えるのか。どうすれば満足できるのか。告白したって、デートしたって、妊娠したって、どれも正解には思えない。だとすれば、下手に行動を起こして後悔するより、自分の中だけで大事に持っている方がよっぽどいい。

 

高校生が考えて行き着くものなのか。とも思ってしまいますが(笑)

消極的な解釈かもしれませんが、「恋愛」は2人でするもの。独りよがりでは成立しないものだと思っています。

「好きの正解」にはなっていないのかもしれませんが、ふわふわと曖昧なもの、形のないものに手持ち無沙汰になってしまっている人に、あげたい一文です。

 

あの一瞬は、今のために

 

なぜ振り返った時には一瞬なのだろう。あの歳月が、本当に同じ一分一秒毎に、全て連続していたなんて、どうして信じられるのだろうか、と。

 

新潮社の企画「ワタシの一行」でも選ばれていました。

まさに1日1日の連続を分割した時、「あの濃い時間」と「ただの日常の時間」が同じ一分一秒なのかと疑ってしまいますね

 

社会人になって、「あの学生生活は幻だったのでは?」と思う時もあります

でも確かにあった一分一秒だった

 

「あの幻の学生生活」は「今」この時のためにあったのだと思う時もあります
連続していた学生生活は、連続していく社会生活の連続の前戯だった

毎日学校に行くのは、毎日会社に行く練習
学校の先生や先輩への接し方、上司や年齢の近い人と接していく練習
宿題の提出は、個々ある締め切りに出す練習
修学旅行は、社員旅行

全て、社会に出た時のための練習だったのだと思う様になりました

 

おわりに

 

青春小説の中では、特に読まれているのではないでしょうか

もっと読んで欲しいです

 

映画もあります!

 

 

たった1日の学校行事を描いた青春小説。

後半あたりに前半の頃を思い出す場面とか、出発したてを思い出したりとか、たった1日のことだけど「あれは一瞬だった」と思わせてくれる小説です

 

別の本『中庭の出来事』では、この『夜のピクニック』の短編集が描かれています!

ぜひそちらも手に取ってみてください(^^)