小説

『准教授・高槻彰良の推察4 そして異界の扉が開く』(著・澤村御影)あらすじネタバレ

春。尚哉は変わらず高槻の助手をしている。ある建築事務所で起こった「4」にまつわる事件の真相は……!?ほか、大学に英国在住の高槻の叔父・渉が現れた!尚哉は「高槻が一番辛かった頃」に彼を育てた渉から、高槻の悲痛な過去を聞く・そんなある日、江の島の人魚騒動を知り、一行は現地へ。そこで「お母さんは人魚になった」と訴える少年に出会いーー。「夢物語は誰のことも幸せにしない」。凸凹コンビの怪異、新章開講!

「book」

おもしろさ 
ミステリー 
ゾワっと  

今回は3編のお話でした。
今回の講義はこの国のまじいのルーツを知れたような気がします。

海外の話もありました。お化けの類は海外にもあるのだなと。私たちは「神様」や「妖怪」仕業にしてしまうけど、海外では別のものを当てているので面白いなと思いました(^^)

 

今回のお話の中の「異界」の講義は興味深かったです
日本の様々なルーツを知れたのではないかと思いました

「異界」の他には「言霊信仰」も興味深かったです。
駄洒落?と言うわけではないのですが、似た音を日本人は回避していたんだなと感心してしまうことが多かったです。

 

 

エマ『甘いものは心を落ち着けてくれる。辛いことがあっても、甘いものがあれば、少しだけ大丈夫になれる。(中略)そうよ。甘いものは、心を救うの

 

高槻先生が甘党なのが知れた回でした

ずっと笑うことしか出来なかった高槻少年が、海外生活で叔父さんとその周りのルームメイト達に救われました

「大丈夫」じゃなくて大丈夫になれるっていう表現が好きです

日本人は特に、大丈夫じゃないのに「大丈夫」と心配させないために嘘を言いがちです
「大丈夫になれる」はそんな微妙な気持ちを表した一言だった思います

 

あらすじネタバレ

四時四十四分の怪

大学2年になった尚哉、史学科を選びました

2年になっても引き続き、高槻先生の講義は受けてました。1年の頃に比較的に話して、同じ語学クラスを取っていた難波要一も高槻先生の講義を取っていて、2人で今後の専攻の話をしてました

1年 2年 3年、専攻
文学部 文学部
史学科 日本史
西洋史
アジア史
民俗学考古学
心理学科

尚哉は何も決めてなく、2年の間にじっくり決める予定です。難波は高槻先生の専攻と西洋史で悩んでました

 

講習後、尚哉は帰りの予定でしたが高槻先生のバイトメールが来たので話を聞きに行きます

 

今回は高槻先生の立ち上げているサイト『隣のハナシ』からでした

 

相談者 沢木ゆかり

勤めてる『遠山建築設計事務所』で変な事が起きている

先日、同僚と軽い気持ちで「四時四十四分の呪い」の遊びをやってから様々な不可解が起こり、先生に相談したい

翌日の夜、尚哉と高槻先生は指定されたカフェで貸し切って会うことになりました

 

相談者の沢田さんは、始まりの4月4日の日からの出来事を語ります

仕事での打ち合わせの後に会社のスタッフ4人で雑談をしていました。

『ゾロ目』の話から、『今日4月4日でゾロ目だ』『しかも4時だ。3つも揃ってる』『この事務所も4丁目4番地だ』『しかも俺たち、ちょうど4人じゃん』

と、『4』の字が揃っている場でした。そして沢田さんは小学生の時に流行った『四時四十四分の呪い』の話を思い出し、その場で話しました

村田さんと大野さんも『四時四十四分の呪い』の話を知っていましたが、2人が知っている話とは違いました

こんなにも『4』が揃う日は滅多にないということで4人で『四時四十四分の呪い』をやってみることになりました

一緒にやった4人は
同期: 村田(女)さん
先輩: 林(男)さん
事務: 大野(女)さん

 

途中、林さんのおふざけがありましたが所長にも怒られたのでみんな仕事に戻りました。その直後、変なメールが届き不可解なことが起こり始めます

村田さん 林さん 大野さん 沢木さん
4/4 4時
44分
「四時四十四分の怪」をやる
その場では何も起こらなかったが
その直後にメールが4人に届いた
件名空欄、本文に「4444」
4/5 4時
44分
444 4444 4444 4444
4/9
4時
44分
近所の階段で
足を引っ張られ
足を怪我した
4/12 4時
44分
44 444 444
4/16 4時
44分
倒れた本棚の
下敷きになりそうに
なるが回避

所長に「契約解除」
を言い渡される
不審者に襲われる
4/17 4時
44分
44
メールに動揺して
オフィスに飛び出し
車に轢かれる
4/19

不可解はメールは
件名 空白
本文 「4444」

その後もメールが4:44の時刻に届き
村田→林→大野 の順で「4」の数字が減りながらメールが来ては不可解な事件が起こりました

まだメールが来てないが次は、沢木さんの番。起こる事件は軽いものからどんどん危ないものになっていることに沢木さんは恐怖を感じ、高槻先生のサイトを見つけ助けを求めました

 

高槻先生たちは沢木さんの話を聞き、翌日の夕方に沢木さんの事務所へ行き調査に行きました

事務所には、所長の遠山、同期の村田がいました
先輩の林と事務の大野は、事件での怪我で休んでいるみたいです

 

高槻先生は、村田さんから話を聞きます。尚哉は今まで通り特殊な耳で嘘を見極めていく係。
尚哉の耳で村田の事件は自作自演だった事がわかりました。メールの送信者も知っていて、でも林さんの事件については何も知りませんでした

尚哉は3人はグルだったのではと思ってると、尚哉は遠山さんからの視線を感じました。高槻先生に送る合図でずっと耳を押さえていることに不審に思われているのでは?!と思い、言い訳を考えてます

 

村田さんは高槻先生の「大野さんがメールを受け取ったとき」のことを聞くと黙ってしまい、代わりに遠山が話します。
遠山さんは呪いのことをバカバカしく思っていて早く終わって欲しいとも思っています

大野さんはメールを受け取った時、すぐにどこかへ電話をしたみたいです。遠山さんの予想ではその相手は林さんでした。遠山さんは2人が付き合っているのを知っていました

この電話で2人のグルも分かりました。でも大野さんへのメールの送信者は分からないままです

村田さんの聞き取りで分かったこと(尚哉の耳で分かった事)
メール
送信者
村田 大野 沢木
村田さんは
知ってる
444 4444 4444 4444
自作自演
44 444 444
事件の事は
分からない
不明 44
事故に遭う
(たまたま)
 

遠山さんはとてもこの騒動に迷惑しているのを高槻先生に伝えます。この怪談にも現実的な考えを持っているので、高槻先生も遠山さんへ林さんの契約解除の理由を聞きます。

遠山さんは「経営上の理由」と答えますが、その声は尚哉の耳には歪んで聞こえました

 

話している途中、沢木さんにメールが届来ます。時刻は4:44

高槻先生は、メールに動揺する沢木に即席のお守り「稲人士いなじんし」と書いた紙を渡しました
不安な時はこれを唱えてとも助言をし、今日のところは帰りました

見送りには、遠山さんが出てきてくれました。帰り際に尚哉の耳の不調と、バイトの勧誘に色々情報を聞き出してきます。出身まで聞いてきて、尚哉は思わず答えてしまいます。

バイトは高槻先生に阻止されてしまいました

 

その3日後の夕方
沢木さんが顧客先へ書類を届ける帰りに4時44分になろうとしていました。沢木さんは高槻先生に貰ったお守りと「稲人士」と唱えながら帰りを急ぎます。

 

横断歩道で足を止めた時、沢木さんが道路へ突き飛ばされそうになるところを、後を付けていた高槻に助けられ、怪我はありませんでした

突き飛ばして逃げた犯人は、同じく後を付けていた遠山さんと尚哉が捕まえます

 

『四時四十四分の呪い』の真相ネタバレ

沢木さんを突き飛ばした犯人は林さんでした

林さんは、所長に目をかけられている後輩の沢木さんに嫉妬してました。その嫉妬から、からかい半分で最初のメールを送りました

最初の計画では、適当に嫌がらせをして終わらせるつもりでした。メールの送信も村田、自分(林)、沢木の順で終わりにする予定でした。大野さんは嫌がっていたのでメールの送信はせずに、協力だけしてもらいました

 

でも、予定がおかしくなってしまったのは林さんが通り魔に襲われてしまってからでした。

林自身、呪いを回避した同じ日に起こってしまったことも気になり、「もうメールを送るのもやめよう」と思っていました

次の日、大野から電話があり急に怒鳴られました。そして大野の元に『4』のメールが来ていることを知りました。でも林はそんなメールは知らないし、送ってもいませんでした

そして恐怖に怯えた大野の電話が切れた後に、大野が事故に遭った連絡が来ました

林は、自分たちの目論見に気づいた沢木の仕業ではないかと思いました。でも沢木さんはメールを送ってはいません

 

林は、これ以上何かが起こってしまう前にこの呪いを閉じることを考え、沢木にメールを送り今日行動を起こしました

 

林の話で分かったこと
メール
送信者
村田 大野 沢木
林さん 444 4444 4444 4444
 
林さん 44 444 444
事件の事は
分からない
不明 44
事故に遭う
(たまたま)
林さん  

林の話していることは矛盾していましたが、本気でそう思っているのかその声に歪んだ音は混じってはいませんでした

 

 

それから3日後の夕方

最初に沢木さんと会ったカフェに、事件のその後について聞くために所長の遠山さんと待ち合わせをしていました

 

『四時四十四分の呪い』の真相ネタバレ その2

 

高槻先生はその後の沢木さんの様子を聞きます。沢木さんはショックを紛らわすために仕事で必死に忘れようとしていました

事務所の中もとりあえずは落ち着いているようでした

 

今日は、大野さんへのメールを送った人物の真相を伝えに来ました

あのメールを送ったのは、このカフェの店長さんでした

 真相
メール
送信者
村田 大野 沢木
林さん 444 4444 4444 4444
 
林さん 44 444 444
事件の事は
分からない
カフェの
店長さん
44
事故に遭う
(たまたま)
林さん  
沢木さんを
突き飛ばす

 

店長さん改め石田さんは、沢木さんの恋人でした。高槻先生が二人の関係に気づいたのは、お揃いの腕時計と、最初の相談する場にこのカフェを貸し切り、石田さんが聞いているかもしれない場で話をしたことで、高槻先生は事前に話を聞いている関係ではないかと思ったのです

高槻先生は、沢木さんと店長さんが恋人同士と推測を立て。そしてそれが成り立てば、沢木さんの携帯から大野さんのアドレスを確認したのではないかと考えたのです

 

遠山さんは石田さんがメールを送るメリットがないのではと考えますが。高槻先生はその理由も推測してました。

おそらく、沢木さんを守るためで。林さんを襲った通り魔も石田さんでした。

 

石田さんは、高槻先生の推理に合っていると認め、真相を話し始めました

 

林さんが契約解除と言われた日、林さんと大野さんがこのカフェに来てました。2人は「呪いのせいにして、沢木に嫌がらせをしよう」と計画を立ててました。石田さんは家具になりきり、その話に耳を澄ましていました。その内容があまりにも具体的で、2人ならやりかねないと思わずにはいられませんでした

 

そしてその話を聞いて石田さんも冷静ではありませんでした。2人が帰った後に、酔っている林さんを襲いました

林さんを襲った後生きた心地がしませんでしたが、林さんが沢木さんにメールを出す前に大野さんへメールを送りました。

次の標的を大野さんにしてしまえば、沢木さんには何もできないと思いました。そして大野さんには何もする気はありませんでした。でも事故に遭ったことを聞いた時は、とても後悔しました

 

石田さんは自分のしたことを沢木さんに話してから自首するといい、高槻先生も遠山さんもその方がいいと思い、カフェを出ました

 

遠山さんは沢木さんのことを思い頭を抱えます。高槻先生も事件の真相を知らないふりはできなったので、その後の沢木さんのケアを遠山さんに頼みます

 

尚哉は、遠山さんのところへバイトに入るべきかと考えていると、高槻先生が遠山さんは最初から3人が嘘をついて沢木さんを騙そうとしていることに気づいていたのではないかと聞きます

 

もう一つの真相

遠山さんは最初から分かってました。3人が沢木さんを騙そうとしていることを、、、、

相手の声で嘘が分かるから、だから林さんを解雇することにしたのです

 

尚哉は高槻先生の質問にビックリしました。まさか、自分以外にも「耳の力」を持っている人がこの世にいるとは思わなかったのと、その人が目の前にいることが信じられませんでした

 

遠山さんは、尚哉が自分と同じ「耳の力」を持っているかもしれない、と思ったから尚哉のことを気にかけていたのでした

白状して、尚哉に親戚の出身を聞きます。そして、自分の親戚にも長野の出身者がいること、一度だけ青い提灯のお祭りに参加したことを話します

その話に尚哉はフラッシュバックし、一瞬の目眩を起こします。高槻先生への心配に「大丈夫」と答えますが、遠山さんの耳には歪んで聞こえたようで、耳を押さえていました

 

 

遠山さんは普段の尚哉の対策を聞き、自分がやってきた対策を教えます。

尚哉も遠山さんも今まで誰とも共有できなかった辛さの苦しみが初めて共感できた感覚がしました。そして、社会で仕事をしている遠山さんに、尚哉はこの先の希望が少し見えました

遠山さんも「耳の力」を活用して、取引先との交渉に使っているらしい。そして、スタッフの見極めにも活用しているため、今回の林さんのような人には辞めてもらっていたのでした

 

でも、遠山さんは結婚していませんでした。家族とも尚哉と同じで疎遠になっていました。その事実に、「やっぱり…」と尚哉の胸に冷たいものが流れました。

高槻先生は遠山さんに「青い提灯の祭り」の調査を考えていると伝え、何か知っていないか聞き出そうとしますが、遠山さんは「行かない方がいい」と遮ります

 

遠山さんは尚哉に名刺に自分の個人番号を書いて、渡し別れました。

 

遠山さんの名刺を見つめながら、彼のように社会でやっていける希望が見えました。同時に自分は彼のようにうまくやれるかが心配になります

そして、「耳の力」との付き合いが長い遠山さんが「幸せ」かどうかは分かりませんでした。やっぱりあの夜の「孤独になる」の呪いは現在も遠山さんに付き纏っているのではないかと推測してしまいます。

 

沈んでいる尚哉に「人の生き方はそれぞれだよ」「君は意外とうまくやっていける気がする」と慰めます

帰りにご飯に行くことになり、その途中で尚哉は沢木さんに渡していたお守りのことを聞きます。

あれは逆さ文字のお守りでした

稲人士 → いなじんし → しんじない → 信じない

 

他にも

『そうぶんぜ』『ソウシナハノコ』『与田惣』という怪談話で唱えられる呪文がある

  • そうぶんぜ → ぜんぶうそ → 全部嘘
  • ソウシナハノコ → このはなしうそ → この話嘘
  • 与田惣 → よだそう → うそだよ → 嘘だよ

昔の怪談は、話の中に怖いものを回避するための呪文も用意されていたみたいです。それを今回も使っただけ

尚哉は、それを声を歪ませずにやってのける高槻先生を怖いと思いました

 

呪いは信じないことが1番の回避方法。高槻先生の持論で、尚哉への慰めの言葉でもありました

 

尚哉は、祖父の言った「孤独になる」の呪いの言葉を受けましたが、高槻先生を見て自分は孤独なのか疑問に思うのでした

 

 

人魚のいる海

6月 「江の島で人魚が出た!」と、スポーツ新聞に出ました

もちろん高槻先生はこの話題のチェックは忘れません。
講義の内容を急遽変えて「人魚」についての講義を始めます

 

 

尚哉は講義を聞きながら、高槻先生の「人魚調査」のバイトメールが来るのでは?と思っていましたが予想に反してメールは来なかったので、雑音慣れの訓練をしに大学内のカフェテリアに行きました

同じ「耳の力」を持つ遠山さんのかつてやっていた訓練方法を尚哉も実践してみましたが、買ったコーヒーが暖かいままで、短時間の訓練しかできませんでした

歪んだ言葉を雑音として聞き流す訓練をやってみるものの、なかなか難しいものでした。気疲れもあり、今日は帰ろうと門を潜ろうとした時、前から歩いてくる英国紳士が見えました

 

日本人だど思うが、雰囲気や佇まいが英国紳士を思わせる人でした。その人に尚哉は高槻先生の所在を聞かれ、研究室まで案内します

 

「誰かに似ているな」と思っていましたが、英国紳士は高槻先生の叔父さんでした。かつて高槻先生を預かっていた人でもありました

仕事で日本に来て、甥っ子の顔を見に大学まで来たようです。でも仕事はもう終えたみたいで、残りの時間は日本で遊ぼうと思っていたようですが、秘書の電話で一週間後に帰国予定になってしまいました(笑)

高槻先生との時間は、週末の人魚調査に一緒に行くことに

今日は一旦帰ると、門まで渉さんを送りに行く途中、キャンパス内にいた鳩達が3人の目の前で羽ばたき、高槻先生は気を失ってしまいました

 

 

倒れた高槻先生を、途中通りかかった難波とともに家まで抱えて運びました。渉さんは今日入っていた予定をキャンセルして、高槻先生の家に泊まることに。

尚哉は予定をキャンセルした渉の心配と、「もしかしたら《もう一人の高槻》が出てきてしまうかも」と思っていると、瞬時に渉さんは尚哉が《もう一人の彰良》にあったことがあると察しました

渉さんに「あいつ彰良のことを知りたいか」と聞かれますが、「他人から自分が聞いてもいいものか」と素直に返事をしますが、渉さんはお酒のせいにして尚哉にあづけられていた頃の高槻先生の話をします

 

翌日、尚哉は高槻先生の起こされました

お酒のことを指摘されましたが、尚哉は誕生日が来て20歳になっていることを初めて高槻先生に伝えました

 

高槻先生は佐々倉さんと3人で飲酒解禁祝い?をやる計画を立てていたことをプリプリ怒ります。尚哉はそんな先生を見て呆れながら、昨夜のボトルなどを片付けて朝食の準備を手伝います

 

朝食を食べようとした時、インターホンが鳴りました。その音に高槻先生の表情が消え、モニターへの返事は冷めた口調でした

訪ねてきたのは、高槻父の秘書・黒木という人でした

 

黒木は、昨日の倒れた高槻先生を歪んだ声で「心配で来た」と伝え、インスタグラムに投稿されていた昨日の倒れた様子の動画を見せます

表向きは「心配で」と訪ねてきましたが、「注目されるような行動は慎め」との無言の要件を伝え、黒木は帰っていきました

 

黒木の態度に渉さんは憤怒しますが、高槻先生は父の用意されたマンションに住んでいる手前何も言いませんでした

 

 

 

週末土曜日

尚哉と高槻と佐々倉と、高槻の叔父・渉さん。4人で江の島に出かけます

 

江の島は、トビがいっぱい飛んでいて積極的に襲ってくる、と横浜出身の尚哉の助言により稲村ガ崎の公園の方へ調査に行くことになりました(高槻は鳥が失神レベルで苦手のため)

そこで地元男の子・陸と出会います
「お母さんは人魚になったんだ」と主張する陸くんは、去年自殺した女性の子供でした

 

陸は1人だったので、家まで4人で送ることに
陸の家はレストランでした

中には陸の父・原田と魚を卸に来ている海野沙絵さんがいました

高槻達はレストランで昼食を取ることにして待っている間に、沙絵さんに手相を見てもらうことに、、、、それぞれ、思い当たる節があるような結果が出ます。

尚哉は手相の最中、沙絵さんの瞳を見た時高槻先生の藍い瞳を思い出しました。沙絵さんの瞳は真っ黒で、でもその瞳は高槻先生の夜空のような瞳と似ていました

高槻先生の手相をしようとした時のその真っ黒な瞳を感じました。沙絵さんは手相「今後でなく、高槻先生の瞳を覗き込み「誰」と問いを投げかけます。その問いに答えは求めてなく、注意するように」と宣託のような忠告をされました。

 

 

料理を食べながら、店のオーナーの原田に陸がどうして「母が人魚になった」と言っているのか話を聞くことができました

陸の母・夕子とは海で出会い、プロポーズのタイミングでレストラン継ぎました。それからは2人でレストランを経営してました
夕子さんとと沙絵さんは原田と会う前からの友人同士で、沙絵さんは陸くんが生まれてからも一緒に遊んでくれて、原田家ではもう一人の家族でした

ある日、夕子さんは倒れてしまいます。陸くんを産んでからの肥立がよくなかったみたいで、その時には内臓もボロボロでした
原田は夕子さんの看病をするためにレストランを一時休業にしようとしましたが、夕子はそれに反対をします

それが夕子さんを追い詰めてしまったのか夕子さんは昨年の冬、海で自殺してしまいました

陸くんにお母さんが亡くなった説明をするのに沙絵さんに相談して「お母さんは人魚になったよ」と沙絵さんが伝えました
陸くんは沙絵さんの「お母さんはいなくなってしまったけど、人魚になって生きている」と信じています。そして今回の人魚騒動に「お母さんが帰ってきた」と思っているみたいです

 

尚哉は、原田の話を聞いて高槻母と同じだと思いました。でも陸くんは6歳で、サンタクロースの存在を信じている年頃。とても本当のことは言えません

この話を聞いて高槻先生はどう思うのだろうと心配してると、意外にも「今の「人魚になった」と付き合ってあげてほしい」との助言でした。もちろん、陸くんが大きくなって現実を受け止められるようになった時は「支えてあげてほしい」と伝え、4人はお店を出ました

 

 

翌週の月曜日
高槻先生のもとへ原田から電話が来ます
陸くんが「昨夜、お母さんが来た!」と

その日の夕方
高槻先生と尚哉は原田のレストランへ向かいました

陸くんはお母さんが立っていたという部屋の窓際へ案内をしてくれました
窓際の地面には鱗が散らばって、何かが這いずった跡も残っていました

陸くんは「お母さんが来てくれた」と興奮して嬉しくて、近所の人や店に来るお客さんに言いふらしてしまい、、、、原田は客商売をしている手前困っていました

陸くんは「来てくれたお母さん」に喜んでくれないお父さんを責め泣いてしまいます

高槻先生は泣いている陸くんへ優しく「このことは内緒だよ」と諭します
人魚が出たと騒ぎになっている今、騒ぎすぎると「お母さんが捕まってしまうよ」と。

 

鱗を大切に宝箱へしまっていってしまった陸くんがいない間に、高槻先生は再度原田に忠告をし別れました。

そのあとに、沙絵さんの勤めている魚屋へ足を向けました

 

昨夜、陸くんの部屋の窓際に鱗を巻いたのは沙絵さんでした。

高槻先生はこれ以上陸くんに夢物語である「お母さんは人魚になった」を強調するようなことをしないでほしいと忠告に来たのです

 

沙絵さんは高槻先生の怒りを感じ、今後はしないことを約束してくれました。そして用事があると言って、どこかへ行ってしまいました

 

 

その帰り、海蔵の歩道を歩いている時

尚哉の心中はモヤモヤしてました。そのモヤモヤの原因を考えながら海を見ていると、沖の方で誰かが泳いでいるのを見ました

そしてふと、モヤモヤの原因が沙絵さんの声だったことに気がつきます

 

「陸のお母さんは人魚だ」は、陸くんを説得するだったはず

でも、沙絵さんの声は一度も歪んでません沙絵さんは夕子さんが本当に人魚だと思って話しているということになります

 

そしてハッとして海を見た時、沖の方で誰かが手を振っているのが見えました

高槻先生はガードレールを越えようと海に身を乗り出そうとするのを尚哉が止め、海の方見た人影の顔を見たかを確認します

尚哉はよく見えませんでしたが、高槻先生の目には夕子さんの顔に見えたと言います

 

高槻先生は原田さんのレストランで見た夕子さんの顔を覚えていました。そしてその顔と今見た顔が一緒だったこと

高槻先生は早足で、原田さんのレストランに向かいます。早足で、高槻先生も気になっていたことを尚哉に伝えます

 

土曜日に原田さんのレストランで見た、白黒写真。それを沙絵さんが自分たちに見えないようにしたことが気になっていたのです

2人は原田さんのレストランに確かめに行きます

 

原田さんは先ほど別れたのに戻ってきた2人にビックリしていました。高槻先生はかまわず、写真を確認んしその中に沙絵さんが写っているのを確認できました

尚哉は古い写真に目を凝らし、写っている面影から沙絵さんと思いました。

でもその写真は昭和初期と思われる写真でした。親戚だったとしても似すぎでは?!と困惑します

2人はすぐに魚屋に戻って沙絵さんを詰めようとしますが、沙絵さんはこの少しの間に仕事を辞め行方をくらましてしまいました。そして2人は何も話さず、その日は帰りました

 

 

水曜日

渉さんが帰国してしまうので、尚哉は高槻先生に付き合って空港まで見送りに来ました

 

渉さんから「お別れのハグ」を強要され、その際に小声で高槻先生のことを頼まれ、出国ゲートに向かってしまいました

 

高槻先生は渉さんが帰ってしまう寂しさと一緒に、恥ずかしい過去の話を暴露されたと呟き、尚哉を嵌めました

 

2人は月曜に話せなかったことを答え合わせします

海で見た人影。それが夕子さんだったこと

沙絵さんは夕子さんの正体を知っていたこと

沙絵さん自身は何者なのか、、、、

 

そして夕子さんが人魚だった場合

出産や病気で病院にかかっていること

検査もしてるはずだから、血液とか、、、、

原田さんとも結婚しているから戸籍があるはず、、、、

その戸籍は?年齢は、、、、

 

考えられる疑問はたくさんありました。でも高槻先生の驚異的な視力と記憶力で疑うことはできません

そして自分と陸くんを重ね、自分の身に起こったことも怪異かもしれない仮説が生まれます

 

それを証明したい。そして沙絵さんが言った手相の結果で不安をこぼします

そんな高槻先生に尚哉は「今更ですよ」と、、、、長野の祭りの謎を一緒に解き明かす約束の不履行を認めないと高槻先生を睨みます

高槻先生は笑みを浮かべ、尚哉に握手を求めます

 

 

2人は運命共同体だ、再確認するかのような場面でした

【extra】それはかつての日の話Ⅱ

20年前3月末  高槻彰良15歳 渉38歳

中学を卒業をして、彰良はイギリスにいる渉のもとへ預けられることになります
渉はほぼ実家との縁が切れていたのに、自分を頼ってきたことに不思議に思っていました

渉は、彰良が来た夜に彰良父・智彰に電話をします

彰良がうまく馴染めそうなこと。問題があるように感じられないこと。彰良を渉の元に送ったのは父(彰良祖父)ではないのか?と話しますが渉の予想と外れて、彰良を渉の元に送ったのは彰良父・智明の判断でした。

そして智彰は、『彰良が怖い』ということを渉に告白し、渉はそのことを怪訝に思いました

 

彰良は渉のアパートメントメンバーに歓迎され、スクールが始まる9月までイギリスでのんびり過ごしました

アパートメントメンバー
  • エマ:24歳。イギリス人。グラマラスなそばかす美人
  • リシャール:32歳。フランス人。ロンドンでカウンセラーをしている
  • アーナヴ:34歳。インド人。ロンドンでITの企業に勤めている
  • 犬:ロボとブランカ

アパートメントメンバーと楽しそうに過ごしている彰良を見て渉は安心してましたが、アパートメントメンバーのエマは、彰良が『笑う』以外の感情を出していないことを渉に教えます。

渉は、エマに言われるまでそのことに気づいていませんでした
彰良は昼間は笑い、でも夜はよくうなされていました

そのことに気づいたのはたまたまでした。寝れない時は渉の書斎で過ごすようになり、そのまま書斎の部屋で寝ていることもありました

一度、アパートメントメンバーのリシャールにカウンセリングをお願いしましたが、効果は微妙でした

 

彰良は学校に通いはじめてもイジメられることなく過ごしてました。

学校のことを聞くアパートメントメンバーに、「『取り替えの子チェンジリング』」ってどういう意味?」と聞きます。学校にそう呼ばれている子がいるみたいで、でも辞書で調べてもよくわからないからメンバーに聞いたのでした

取り替えの子チェンジリング

アイルランドの方の昔話

妖精が子供を惑わせて自分の国に連れて行くときに、その身代わりに別の妖精を置いていく。その身代わりが『取り替え子』。

大抵は、もともとの人間の子とは似ても似つかない醜い顔をしている

彰良は『取り替えの子チェンジリング』と呼ばれていたクラスメイト・ジェンと仲良くなり、時々アパートメントにも来るようになりました

アパートメントの大人たちは、『取り替えの子チェンジリング』と呼ばれてイジメられている子と一緒にいることで「彰良もいじめられるのでは、、、、」と心配してこっそり持ち物チェックをしてましたがいじめられている様子はありませんでした

でも安心していたのも束の間、、、、渉が学校に呼び出されてしまいます

渉は急いで駆けつけましたが、まさかの学校側からの謝罪でした。
彰良がイジメに対して反抗し、その反抗で相手に怪我をさせてしまいましたが、学校側が問題を見逃していたことで発展してしまったことへの謝罪でした

渉は拍子抜けしてしまいましたが、謝罪をした教員の態度で「いい学校に入れた」と思い直します

帰りに彰良は呼び出されてしまったことを渉に謝りますが、「自分は学生の頃、そこそこ問題児だった!」と右足が悪い理由をカミングアウトします。でも彰良がイジメられていたことを知り、今後の提案をしますが彰良は笑って誤魔化します

この笑顔を見て、渉はエマが言っていたことを思い出しました。笑って流そうとする彰良ももっと気を付けてみるべきと思い直しました

 

その時、鳩の群れが2人の頭上に響きました

羽ばたく鳩を見ていると、足に衝撃があり彰良が青い顔で雪崩かかってきていました。急いで病院に運び、検査もしましたが何も異常が見つかりませんでした

病室に眠る彰良はピクリとも動かなく、このまま目を覚まさないのではないかと渉に恐怖が襲います。医者には「両親」のことを聞かれ、どんなに可愛がっていても自分の子ではないと突きつけられもしました

 

 

眠る彰良から目を話している時、彰良が目を覚ましていました

意識が戻ったのかと、安堵しましたが彰良の瞳の色が違うことに気づきドキリとしました

 

その瞳に渉は恐怖を感じていると、彰良が口を開きます。でもその口調も彰良のものとは違い、まるで別人のようでした

彰良の発する言葉「外つ国」「流された」「ヒルコ」「アワシマ」と聞き馴染みないものばかりで戸惑っていると、彰良は窓枠に飛び乗り「彰良をもらう」と発してました

渉は夢中で、窓枠に飛び乗っている彰良を引き込み「要らなくない」と藍色の瞳の彰良に強く訴えます

 

 

彰良を引き込んで抱きかかえた状態で、彰良の正気が戻ります。その瞳はいつも通りの茶色の瞳に戻っていました

彰良は何も覚えてないようでした。記憶も鳥を見たところで途絶えていました

専門家のリシャールに診てもらいましたが、瞳が変わった原因はわかりませんでした

 

 

 

ある日、彰良がアパートメントからいなくなってしまいます
エマたちは、犬のロボとブランカの鼻を使って彰良を探します

ロボとブランカの追跡のおかげで彰良を見つけられました。
そこには彰良の他にジョンと大人の男がいて、3人は揉み合っていたのです

エマたちは叫び、男は逃げていきました

エマたちはジョンを家まで送ります。ジェンの家では騒ぎになっていました

ジェンの母は、ジョンが見つかったことを喜び、ジョンのことを叱りました。ジョンは母親が心配しているとは思ってもみなく、驚きます

彰良は、リシャールとアーナヴに頼み、ジョンの父親だけを外の飲み屋に連れ出してもらい。ジョンとジョンの母親(ハーカーさん)に逃げた男はジェンの本当の父親だと2人に伝えます

 

彰良はジョンの本当の父親とジョンの耳の形が似ていることで、2人が親子と気づきました。
ジョン自身も、知らなかったけど会ったことで確信しました

 

彰良の推測通り、さっきの揉み合っていたのはジョンの父で、学生時代に付き合っていた男性でした

卒業後付き合いはなくなってしまったが、今の夫と婚約後に再開し一夜限りの関係を持ってしまいました。その時に授かったのがジョンでした。

 

ハーカーさんは夫に覚醒遺伝と伝えていますが、夫がどう思っているのかは分かりません。加えて、その夫への罪悪感や後ろめたさでジョンに冷たくあたっていました

 

ジョンの父には、ジョンを産んだことを伝えていませんでした。だから今回のジョンがいなくなってしまったのは、どこかでジョンの存在を知った彼の仕業だと思ってました。でも警察に犯人の素性を伝えることはできませんでした

 

彰良はジョンから「今日迎えに来る」ことを聞いてました。だから、夕方からジョンの家の前で張り込み2人の後を追いました。

ジョンの様子を見て、ジョンが父親と行くことを嫌がったのを見て、ジョンを止めることを選びました。

 

ジョンと母親はうまくいってなかったけこれを機にいい方向へ向かうことを祈ります

 

 

ジェンの家をあとにした彰良は、怖い目にあったはずなのに笑っていました。
エマはそのことに我慢できず怒り、怒っているのにマシュマロ入りのココアを出してきました

エマ「これは、私のおばあちゃんが昔教えてくれた魔法よ。何かあったら、マシュマロ入りのココアを一杯。それできっと幸せになれる。ーーつまりね、こういうこと。甘いものは心を落ち着けてくれるの。辛いことがあっても、甘いものがあれば、少しだけ大丈夫にになれる。だから飲みなさい、アキラ。あなたには今、そういうものが必要なはず」

 

彰良はず辛くても笑ってます。ずっとずっと泣いてませんでした。

彰良は泣き笑いみたいな表情になって、溢れるように涙が落ちて、渉たちに「家族」と言われ心が救われました
イギリスに来て、彰良がはじめて泣いた日でした

 

2年後
高槻は、高校卒業後には日本の大学に行くつもりの事を渉たちに話します
大学はあっさり合格

 

帰国の時 渉も一緒について行きます

空港では高槻父の秘書が迎えに来ていました
向かっている場所は、実家ではなくマンションでした

銀行の通帳とカードだけを渡し、秘書は帰ってしまいます

その行動に渉は、自分の時と一緒だと思いました
高槻の父と渉の父は、血の繋がりもないのに同じ事をしていました

渉は高槻に「したたかになれ」と助言をします
貰えるものは貰って、利用しろ、と。
それでも、辛くなったら帰ってこいと

あのアパートメントで高槻が使っていた部屋は、20年経った空けています
帰る場所はあるのだと、、、、

 

おわりに

高槻先生の講義

  • 異界
  • 『きさらぎ駅』、『古事記』のイザナギの黄泉国訪問、浦島太郎の竜宮城訪問、『平児代答』『仙境異聞』の天狗の世界に行った寅吉の話
  • 異界の線:『内』と『外』、『この世』と『あの世』、『日常』と『非日常』、『我々』と『彼ら』
自分の事、世界 異界の入口
この世 あの世
日常 非日常
我々 彼ら
村の外の自然
(山、森、川、海)

人の意思の及ばないもの

そこに神、妖怪に変換

理解、制御できない自然を象徴化
(天狗、河童、鬼、大蛇、
狐、狸)
室町時代 町中 町中の身近な古い家具、小物が妖怪化

付喪神
江戸時代 町中(人口増加) 人間(幽霊)
怪異は娯楽に変化
現代
昼の学校 夜の学校
スマホ、PC、
それに繋がるウェブ上の
空間

きさらぎ駅
  • 四時四十四分の怪、四時ババア
  • 四次元ポケット
  • 言霊信仰
  • 日本の人魚の話
  • 取り替え子チェンジリング」:アイルランドの妖精の昔話。

 

 

高槻先生の、過去のお話が収録されたお話でした

高槻先生がマシュマロ入りココアが好きな原点でもありましたね

 

今回は、「」の少ない巻だったのではないかなと思います

同じ境遇の人物とは出会えちゃうし、本当の怪異に出逢ってしまったかもしれないし!!!
「人魚のいる海」を読み終えた時、思わず鳥肌が立ってしまい、思わず読み返してしまいました

尚哉の言っていることに、間違いはないかと、、、、

 

物語はもちろん面白いですが、日本の勉強もできるのでオススメです
今回は「四次元ポケット」も出てきてしまうんですよ(笑)
是非、お手にとってみてくださいませ(^^)