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大学2年の夏。尚哉は自らの耳と「死者の祭」の真相を探るべく、高槻・佐々倉と長野の旧小山村へ。再会した従兄から、亡き祖母が「尚哉は山神様にとられた」と不吉な言葉を口にしたと聞く。地元でも ”死者が歩く” と噂される件の村に着き、調査を開始する一行。しかし、その最中、尚哉は高槻と共に再びあの真夜中の不思議な祭へち招かれてしまい……。「僕らは、超えてしまったのかもしれない」大人気民俗学ミステリ、急展開!
bookより
『准教授・高槻彰良の推察 5』感想
おもしろさ
読みやすさ
手がすすむ (贔屓(笑))
とうとう死者の祭りへ参加するお話です
孤独に呑まれそうになる尚哉に高槻先生の言葉が現実へと引き戻し、立ち上がる勇気を与えました
好きなものをたくさん増やしなさいって意味だよ。好きなもの、楽しいこと、大事だって思える何か、僕らはそういうものをたくさん持っておくべきなんだ。そういうものが、僕らをこの世界につなぎ止めていてくれる
この言葉を悩める10代に贈りたい。
この世に繋ぎ止めるための、好きなもの、楽しいこと、大事なものを増やしていく
とても大事なことだと思いました
この世が嫌になる時もあるけど、大事なものがあれば、とどまることができる
そんな言葉だと思いました
テレビドラマ
テレビドラマでもピックアップされてました!!
ドラマ話数と該当の原作です
ドラマ | 原作 |
season2の3話 | 第一章 百物語の夜 |
ネタバレ
第一章 百物語の夜
7月末日
尚哉は春学期試験を終えて、遠山さんと会ってました
尚哉は7月の初めの頃に遠山さんにメールを送っていて、やっと会うことができました。そして、実際に行く前に遠山さんも「最近行ったのでは」と思いその時のことを聞きたかったのです
遠山さんは3年前に仕事で長野に訪れました。長野に住んでいたのは叔母夫婦で、もう亡くなっているがなんとなしに観光的なノリで訪れました
村を散策している途中、畑帰りの老夫婦に怪訝な顔をされ「昔親戚が住んでいて来た事がある」と合わせて叔母の名前を出すと、老夫婦は気を許したように会話をし世間話に発展していきました
昼間の祭りのことを触れると「年寄りばかりでもうやっていない」と言っていましたが、「夜の祭りにも参加した事がある」と伝えると、2人は一変して態度を変え嘘しか言わなくなりました
内容は大した事なく、今この場で話さなくても良い内容でした
遠山さんは、わざと聞かせている。と思いました
遠山さんの耳にはもちろん歪んだ声にしか聞こえなく、その日は早々に逃げるように東京に帰ったそうです
老夫婦の行動から、、、、
老夫婦は
- 祭りのことを知っている
- 参加してしまった者がどうなるかも
- 参加した者を追い払った
遠山さんは、この耳の力を追求する気がありませんでした。「いつか元に戻ったら、、、、」と思うときはありますが、耳の力を失った時には余計に「誰も信じられない」と確信も持っていました
尚哉も遠山さんと同じ気持ちを、味わいました。遠山さんが止めますが、尚哉は知りたい気持ちを遠山に伝えます
遠山さんは「高槻先生に流されているのではないか」と聞きます。
確かに、高槻先生に出会わなければ尚哉が再び、あの村を「訪れよう」と思うことは無かった。でも遠山さんは知らない高槻先生の境遇がその行動源だったとしても、「知らないことは怖いから」と伝え、納得してもらいます
意思の変わらない尚哉に遠山さんは「気をつけて」と送りだします。
話の区切りの良いところでちょうど高槻先生から電話があり、電話口から聞こえる高槻先生の声に遠山さんは苦笑いをします
大学に戻った尚哉は、汗の具合で高槻先生にキャンパス外にいたのでは?と聞かれ、遠山さんと会っていたこと、遠山さんが村に訪れた時の話をしました
遠山さんが受けた村人の対応に、高槻先生は不穏な香りを感じてますます行くのが楽しみになります
でも、、、、行く前に大学で『百物語』をやることに!
学生からの提案で「『百物語』を大学でできないか」相談を受け、高槻先生を巻きこんで開催しよう!っとなり
高槻先生自身も『百物語』はやったかとなかったので、楽しみにしているみたいです
尚哉は用もないので、一応参加しますがきっと嘘の話も混じっているので体調に気をつけながら参加することにしました
3日後 百物語の会が開かれました
百物語の会
第一校舎1階 集会室A
参加者 25人(一人4話かつ1話5分以内の話)
参加費 500円(蝋燭台と飲食代)
主催者 文学部1年 葉山
尚哉が会場に着くと、もう参加者が集まっていました。人も多いので集合時間ギリギリに出直そうかと思ってたところに、高槻研究室の唯先輩が声をかけてくれました
唯先輩情報で瑠璃子先輩も参加することを話しながら、唯先輩に流されるように参加受付のブース?に尚哉も一緒について行きます
主催者に葉山から小さなキャンドルを受け取ります
「火気厳禁」の場所で行うので、蝋燭の用意はできなかったみたいです。尚哉はクリスマスのキャンドルを連想され「あまり怖くなさそうだな」思い唯先輩にも話ます
でも唯先輩はキャンドル対応に「面白い」と思ってました。
元々は行燈を使っていたはずだが、それがいつしか蝋燭になって、現代ではLEDライトになって、、、、現代っぽい合理性と最低限のルールを守ろうとする姿勢が、江戸時代から現代まで続いている理由だと、解釈しました
こう語る唯先輩を見てると、高槻先生を彷彿させられ「高槻研究室に所属してる人だな」と感じられます
移動してると、人集りに見覚えのある茶髪を見つけてました。難波もこの会に参加していました
難波は、葉山に誘われたらしく、2人はサークルの先輩後輩でした
難波のいた人集りはテニスサークルのメンバーで、参加者に見覚えのないのは1年生と他学部も混ざっていたからでした
そこに高槻先生と瑠璃子先輩が差し入れのお菓子を持って現れ、集会室は高槻先生のイケメンぶりに他学部の学生の方でざわめきました。他学部になると高槻先生の顔を知らないこともあるのだと、改めて認識させられました
参加者も揃ったので、用意された椅子に高槻先生とその隣に瑠璃子先輩が腰をかけると、2人の片脇の椅子を椅子取りゲームのように争奪戦が繰り広げられました
椅子取りゲームが始まる前に、尚哉と唯先輩に高槻先生と瑠璃子先輩は気づいて手を振って「一緒に座ろう」と合図を送ってましたが、一瞬で席は埋まり叶いませんでした
尚哉と唯先輩は2人の人気ぶりに頬を引き攣り、会いてる椅子に並んで座りました。高槻先生たちとはちょうど向かいの位置になりました
百物語の会は主催者の葉山と高槻先生の挨拶で始まりました
初めはキャンドルでの百物語に雰囲気が出るのか?と疑問に思っていた尚哉ですが、暗くすると意外とキャンドルでも雰囲気が出てそこそこ怖さを含む雰囲気になりました
気にしていた話の中の嘘も、気分が悪くなる事がなく、どこが「嘘か」「本当か」を探しながらそこそこ楽しんでいました
世の中にありふれる怖い話というのは、もしかしたらこうやって生み出されているのかもしれない。日常の中でふっと思い浮かんだ「もしこうだったら嫌だな」が形を得て、怪談となるのだ。たとえ想像に過ぎなくても、そのとき感じる恐怖は本物に近いから。
話の中に、「嘘」の部分に対して本人の感じた感情部分が「本当」になっていることに尚哉は面白いなと感じてました
視線を感じて顔を上げると、高槻先生と目が合いました
高槻先生は尚哉の反応を見て、参加者の話の中に「本物」探してました。相変わらずである
そこで唯先輩の番になり話を始めました
唯先輩の体験話で、唯先輩だけでなく唯母も見た話でした。その声に歪みが無く、詳しく聞きたくても今の状況で出来ない。高槻先生の方を見ると、尚哉の反応で気づいたのかキラキラした表情でこちらを見ていて、終わった後の行動が想像できます。きっと唯先輩に詰め寄る高槻先生がいるはずです
順調に話は進んでいき、参加者の一人が自分と亡くなった妹さんの話をします。
そして妹が亡くなってからいつの間にか贈られる一輪の花
怖い話でなく、ほっこりする話もありました
終盤になると話のネタも尽きてきましたが、キャンドルの明かりはどんどん消えていき、緊張感が増していきました
残りの話の数を数え始め、またキャンドルが消える
最後のキャンドルが消えたとき、小さな女の子の声が聞こえました
「お兄ちゃん」と、、、、
その声を聞いた女子の声が響く。中でも難波の彼女は話の最中もずっと怖がっていて、レコーダーで録っていた終盤を繰り返し聞こうとする主催者の葉山を難波が止めます
高槻先生は窓を開けて、外の明るさを確認して最後のお楽しみに企画を進めます
企画の終わりに花火をすることになってました
『花火』は厄落としの意味があり、『炎』は不浄を焼き神聖なものの意味がある
隅田川の花火大会も享保の大飢饉と疫病の流行後に、亡くなった人の鎮魂の疫病退散の祈りを込めて始まったと、瑠璃子先輩が説明します
今回は大学での開催なので、線香花火で厄落としをすることになります
尚哉も高槻研究室のメンバーと一緒に線香花火をし、百物語の会は幕を下ろしました
その3日後
尚哉は難波に声をかけられます
食堂で昼ごはんを食べながら、難波の要件を聞きます。高槻先生に後輩の大石くんのことでの相談事でした
相談者 難波(後輩の大石くんのことで)
大石くんは百物語の会で『亡くなった妹の話』をした参加者でした。
大石くんが、百物語の会をした後に家に帰ったとき、一輪の花が掃き出し窓の前に置いてありました
妹やりとりしていたように、仲直りの印の一輪の花が、、、、
大石くんは、百物語の会に聞いた女の子の声を妹の声ではと思っていて心ここに在らずの状態でした。
難波はそんな状態の大石くんを見ていられず、解決に高槻先生に相談できないかと尚哉に声をかけてきまた
尚哉は電話をすると、高槻先生はすぐに出てくれたので難波に替わって大石くんの話をしてもらいます
高槻先生も主催者の葉山くんに用事があったようで、メールに返信がなかったことを伝えると難波が代わりに連絡を取ります
横で難波の話を聞いてると、この食堂にふらっいるのではなか?と見回してると、身に覚えのある長い髪を見つけ、その人物の元に駆け寄ります
海野沙絵が尚哉の大学食堂でうどんを食べてました
「何してるんですか?」の尚哉の質問に対して、「うどんを食べてる」と呑気に答えます
沙絵さんを目の前にして聞きたいことがあるのに、聞けないでいる尚哉に沙絵さんは尚哉を撫でます
沙絵の瞳を見て呑み込まれそうになる尚哉に沙絵は何かを感じ取ってます
沙絵は尚哉に高槻先生のことを聞き、尚哉も話の中から高槻先生が7月に何度も稲村ヶ崎に来ていることを知ります
尚哉は一人で行動する高槻先生に対して、言いようのない気持ちになります。沙絵さんが高槻先生を気にかけているのかを聞くと沙絵さんは高槻先生だけでなく「尚哉も気に入っている」と返事をします
高槻先生に会わないかと誘いますが、沙絵さんは高槻先生の質問攻めを予知しているのか笑顔で拒否します。なのになぜ大学に来たのか、、、、、
沙絵さんは尚哉の顔を見に来たと言って顔を近づけられると、尚哉は沙絵さんから潮の香りを感じました
不意に、沙絵さんはあの日した手相の話を覚えているかと聞きます
この先試練が待っている。呑み込まれないように。
尚哉は覚えてます。
でもまだ試練そいう試練は来てません。そして沙絵さん曰く、その占いは今も変わらないみたいです
そしてさらに加えます
「手を取る相手を、間違えたら駄目だからね。……絶対に」
と、、、、尚哉に伝え、沙絵さんは突然「見つかった!!」と言って走り出してしまいました
尚哉は沙絵さんが突然走り出したことに唖然としてると、後ろから難波にどつかれました。
沙絵さんと尚哉のやりとりの一部始終を見ていたのか「誰?!何者?!」とぐいぐい聞いてきます
難波をあしらいながら「沙絵さんに聞けばよかった」と後悔していると、尚哉の肩を高槻先生が掴みます
尚哉が振り向くと荒い息を整えている高槻先生が居ました
高槻先生は研究所の窓から沙絵さんを見て、急いで食堂まで全力疾走してきたみたいです
その場にいた難波もいつもじゃ見られない高槻先生の様子にビックリしてます。難波に気づいた高槻先生も連絡を取るようにお願いした葉山くんのことを聞き、無事に連絡が来て3人で研究所で葉山くんの待つことになりました
翌日
高槻先生と尚哉は大石くんの家に行きました
難波の話では心配になるほど心ここに在らずと聞いていましたが、尚哉が見る限りは晴れやかな表情でした
大石くんは置いてあった一輪の花を押し花にしてとっていました。それは、妹さんが生きていた時もやっていたことでした
手元には3つあり、あれから毎日一輪ずつ置かれていたみたいです
大石くんは妹の幽霊が花を持ってやってきている、現象を受け入れていました
大石くんは『百物語の会』で妹の話をしている時、妹に対して申し訳なく思ってました。
小学生の頃に亡くなった妹。自分は今大学生になって問題なく過ごしている。近頃では思うとのことを思い出すことも少なくなっていることに、、、、
だから、妹の霊は「気にすんな」と兄弟の仲直りの印を置いていったのではないか、、、、と考えていました
大石くんは『百物語の会』の最後に聞こえた声を、妹の声と思っていました
昨日の葉山くんを呼び出して、難波も交えて『百物語の会』の最後に聞こえた声の真相を解き明かしてました
葉山くんは高槻先生に呼び出されたことに喜んでいました。『百物語の会』の音源を参考資料として呼ばれたんだ!と思っているみたいですが、高槻先生は「覚えているからいらない」と突っぱねます
高槻先生は忙しそうにしている葉山くんに来てもらった事を謝ります。葉山くんは先生から連絡を貰っていたのを気づいていましたが、『百物語の会』で録っていたボイスを編集して動画に上げる準備をしていたみたいでした
高槻先生は、動画を上げるなら参加者全員に許可と最後の声を削除することをお願いしました、、、、
葉山くんは『百物語の会』の最中に外にいた動画編集の仲間と連絡を取って、最後の百話に目が終わった最後に仲間が窓の外から声を流していたのでした
高槻先生はあの日からラストの声は「やらせ」「嘘」「創作」と気づいていました
葉山くんは高槻先生の尋問に否定し続けますが、尚哉の耳にはその声は所々歪みの音が聞こえていました。
その話を横で聞いていた難波の呆れた声に、葉山くんは白状しました
『百物語の会』を開催したのも怪談系の動画を上げるためでした、、、、
その白状に難波は大石くんを想い叱り飛ばし、高槻先生は諭します
「もともとは、何よりも恐ろしい事態である『死』についての説明を知けるためのものだったんだと思うよ。多くの宗教がそのためにできているのと同じようにね。そして、もう一つーー死に対する恐れと同じくらい強い使者への思慕の念を、幽霊話によって処理するためでもある」
「死は絶対だ。命は失われてしまえば、二度と戻らない。でも、それでは悲しすぎるし寂しすぎるでしょう。だから、死んだ人は幽霊になってこの世に戻ってくるという考えが生まれたんだ」
命が失われても、残るものはあるのだと。
全てが消え失せてしまうわけでもなく、魂は残りのだと。
そうして、幽霊話というものが盛んに語られるようになった。(p103-104)
高槻先生の話を聞いて、葉山くんは声を削除することにしました
大石くんのアパートを去り、尚哉は高槻先生の対応に変化を感じてました
人魚の一件から、原田陸くんへの対応から、替わったように感じまてました
あいかわらず、偽怪異を作り出した葉山には容赦無く叩き潰しましたが、、、、
大石くんへは真相を話しませんでした。
大石くんの死者への付き合い方を尊重し、真相を話さないことを気まました
でも、、、、大石くんの家に花を置いているのは誰か、、、それは分かっていません
「一体誰が、、、、」と考えていると高槻先生が何かを見つけ指をさしていました
こちらに向かってキジトラ柄の猫が花を咥えて歩いてきてます
猫は2人を避けながら大石くんの家の方へ去って行きました
まさかの遭遇に、大石くんへ花を贈っている犯人が分かってしまいました
もともと大石くんの家にご飯を食べに来てたらしいが、花を持ってき始めたのはここ最近の話、、、、
猫の心境は猫にしか分からないので、花を持ってくる真相は分からないままです
高槻先生は葉山くんのことを抜きにすればこの終結に満足してます。今後も『百物語の会』をやろう!を意気込み、翌年の尚哉の参加の現地も取ります
尚哉は「そういえば」と高槻先生の稲村ヶ崎へ一人で行っていたことへを問い詰めます。そして沙絵さんの伝言も伝えます
高槻先生は謝りますが尚哉は「保護者(佐々倉さん)に報告し、叱ってもらう」ことを伝えます
高槻先生は尚哉を現実と異界の境界線の道連れに選んだくせに、たまにこうやって出し抜く
尚哉は高槻先生へ、沙絵さんの伝言を伝えます
「……手を取る相手を間違えるな、って」
高槻先生に伝え、高槻先生の瞳の色が変わります
その言葉を2人は胸に秘め来週の長野旅行に備えます
第二章 死者の祭
尚哉は手を引かれて走ってました
山、森の中を、、、、、
手を引いている背中は高槻先生。
2人で何かから逃げてます
手を引いてくれてるのが高槻先生だ、と安心したのに一瞬で「本当に?」と疑問、不安に思います
手を引いているその温度が、全力疾走しているのに冷たかったから、、、、
尚哉はそこで目を覚まします
場所は車の後部座席。長野に向かっている途中でサービスエリアに着いたところで起こされたみたいです
今日は8月14日 長野旅行の初日です
尚哉は昨日の出発前日は妙な緊張で寝れなくて、今日佐々倉の車に乗ってすぐに眠気に襲われてしまったみたいです
3人はサービスエリアで昼食を取り、実は佐々倉さんが今日来れるか危うかったことを尚哉は初めて知り、佐々倉さんが予定通り来てくれたことに感謝し、調査する祭りについて整理します
昼間の祭りは夜8時には終わり、流れていた盆踊りの音楽もブツリと切れる。
大人は追い払うように子供たちに向かって言う。
「子供は帰れ。寄り道せずにまっすぐに。そして今夜は早く寝ろ」
決まり文句のように、どの大人たちも必ずそういう
屋台も8時には終了される
祭当番なるものがあり、それに当たった年の祭りの晩に祖母は夜遅くなっても帰ってこなかった
祭りのことを尚哉の祖母は知っている風だった
遠山さんの話で、村の人も祭りのことを知っている風だった
3年前 村人が遠山さんを追い払った理由、、、、
- 死者の祭りに参加した者を忌避した
- 村のタブーを犯した
村の中で尚哉の耳の変化に気づいているのは祖母だけで、それを祖母が知ったのは祭りに参加した次の日。
「夜に祭りがやっていた」という尚哉を一人隅に呼んで「さっきの話を誰にもしてはいけない」
耳を塞いで従兄弟たちの嘘の応酬の喧嘩に耳を塞いでいたところに、祖母が「そんなことをしたら気付かれるだろう」と怖い顔して言ったことがある
尚哉の母はその村で大学進学まで育ったが、尚哉が「声が歪んで聞こえる」と言うと普通に病院に連れて行った →母は知らなかった?
尚哉の話を聞いて、佐々倉さんはキナ臭さを感じます。
今日は図書館で郷土資料で調べて、夜に尚哉の従兄と会う約束をして話をすることになってます
長野に到着後、佐々倉さんは近くで一人観光か日帰り温泉に行き2人は別れました
尚哉と高槻先生は図書館で郷土資料を漁りますが、村から祭りのことを話すのを禁じていたはずだから、資料で調べられるとは思ってはいませんでした
ホテルにチェックイン前に佐々倉さんと合流して、尚哉の従兄・西川和也(通称:カズ兄)と合流します
会うのは祖母の葬式以来で6年ぶりです
6年ぶりに会うカズ兄は、親のように尚哉の成長と再会に喜びます
4人で居酒屋に入り、カズ兄に有る事無い事暴露されそうになった尚哉は無理矢理カズ兄の職場の話に持っていきます
でもカズ兄はスポーツ課に所属しているので、郷土関係はあまり詳しくないみたいです。
お酒を飲みながら普通に談笑してましたが、途中から尚哉の小さい頃の話になり高槻先生も佐々倉さんもその話にノってくるので、尚哉はカズ兄の話を止めるのに必死です、、、笑
高槻先生と佐々倉さんは尚哉の反応を見てカズ兄の話にノっていたが、尚哉が睨むので母方の実家の祭りの話に話をシフトします
カズ兄の話
祭りの盆踊りの前に神事や祝詞はあったかも知れないが、それをやっていたのはお山の上の神社。(だからカズ兄の記憶でも印象に残ってなかった)
祭りの日はそのお山には行ってはいけない、決まりがあった
お山の神社に行くには、嫌になるくらいの長い階段がある
神社には、大きな岩がある。注連縄が張ってあって、岩の注連縄は新しくしてあって、神社のお社より偉そうな感じだった
神社のほうに行くと祖母に「蛇が出るから」と怒られていた
カズ兄は酔いながらも高槻先生の質問に答えますが、少し脱線しそうになると尚哉の恥ずかしい昔話になりそうなのを、やっぱり必死に止めます
途中尚哉がトイレに立ったとき、あとから来たカズ兄とすれ違います
その時にまた親のように尚哉に対して「育ったなー」と赤い顔で言うので、尚哉は呆れてしまいます。
カズ兄は尚哉のことを「心配してた」とおばあちゃんとのやりとりを教えてくれました
おばあちゃんは亡くなる前は市の中心部の大きな病院で入院してました。カズ兄は何度かお見舞いに行っている時に、子供の頃の話なり
「尚哉は育たんかもしれない」
「尚哉は山神様にとられたから、わからん」
と漏らしてことを話してくれました。だからカズ兄は尚哉の成長を喜んでいたのです
尚哉はカズ兄のおばあちゃんの発言にヒヤリとしました
「何を」「とられた」「取られた」「盗られた」「盗られた」のか、、、、、
尚哉の脳裏に反芻されます
尚哉はお開きになってホテルに戻った時に高槻先生に報告しました
翌日 3人は旧小山村へ向かいます
尚哉は昨日のカズ兄の話が気になってあまり眠れていませんでした
カズ兄の昨日のお祭りの話を高槻先生が推察します
『山神様』と言われるくらいだから、土着の神様の感じがある
磐座もあることから、村に伝わっているのは古道系のカミ信仰があったのかもしれない
カミ信仰:自然信仰で大きな山や大きな木に、畏れを感じて神様として祀りる
神社までの階段は200段くらい。真っ直ぐに上まで続いていた。
尚哉は子供ながらに『小山村』だから『小さい山があるから』と納得してました
名前の由来はその『小さい山』から来ていると思われる
おばあさんの『山神様にとられた』『育たんかもしれん』の発言から、
山神様がとるのは子供
村のお祭りも、子供たちを遠ざけてご神事をやっていた
山神様の『子供』定義は不明だが、現代の考え方で尚哉は『大人』の枠組みに入るからもう大丈夫と思われる
でも遠山さんの3年前の村に訪れた際の対応で、尚哉の耳のことは村人に気づかれてはいけないと思う
昨日の情報を整理していると、村に近づいてきました
小さい頃の記憶と目の前の景色に違いがあり、家のあった場所は畑になっているところが多く、過疎が進んでいました
祖母の家も、家が無くなり畑になっていました
その時、村の人に声をかけられます。声をかけてきた老人には尚哉も見覚えがありました。祖母の家の近所に住んでいた「中村のじいちゃん」でした
中村のじいちゃんは尚哉を見てすぐにわからなかったですが、田原美登里の孫と言うと思い出してくれました
祖母の家のことを聞くと、祖母が亡くなった後に売りに出されて中村のじいちゃんが買ったようでした。生前からの約束を2人でしていたみたいです
中村のじいちゃんから村に来た目的を聞かれると、すかさず高槻先生が話に割り込んできました
祭りのことを聞くと、中村さんは「もう盆踊りはやっていない」と嘘をつきました。尚哉は咄嗟に耳を抑えようとしますが、気付かれてはいけないので我慢します
高槻先生は続けて『山神様』のことを聞きますが、中村さんの表情が変わり「誰聞いた?!」と聞かれるので「尚哉の従兄弟から、入院をしていたお婆さんに聞いた」と伝えると渋い顔をしながら高槻先生と話を進めます
途中変わって尚哉質問すると中村さんは昔馴染みだからか穏やかに答えてくれました
お山の神社に祀っているのは、田んぼや畑の神様。オオゲツヒメ様
山神様とは違うもの
山神様のことは、子供のは聞かせないことにしていた
山神様はお山にいて、村では人が死ぬとあの山に行くと言われている
お山の下には黄泉への入り口があって、山神様が死人を黄泉まで連れて行ってくれると伝えられている
お盆の時期には、あの山から死んだ人が帰ってきている
「お盆の時期に帰ってきている」ことを聞くと、中村さんの歪んだ声に尚哉が反応してしまい、尚哉の耳のことを気づかれてしまいました
確かめるように嘘を羅列し、尚哉の反応に中村さん自身も困惑してました
高槻先生は尚哉を連れてその場を離れると中村さんが
「……帰れ!早く!」
「帰れ! 寄り道せずに、まっすぐに! そして今夜は早く寝ろ!」
と2人に向かって叫んでいます
車にいた佐々倉さんは2人が戻ると、車を出発させました
尚哉の耳についてバレたことで離れることになったことを伝え、中村さんが怒鳴っていたことを聞くと、あれは村の大人達が子供を守るための呪いの言葉だったことを教えてくれました
3人はお山に向かいました
お山の神社まで登りそこでお昼にします
お昼を食べて神社を回ります。境内の隅に小道があり、その先にカズ兄が言っていた磐座がありました
3メートルほどの平たい岩で、高さは尚哉の胸くらいあります
周囲には杭が打たれていて、注連縄が張り巡らされています
カズ兄の話の通り、神社のものよりこちらの方が定期的に手入れをされているようでした
他に大きな岩がなく、ずっと祀られていたもの
山神様がいて、でもそれを祀る村は過疎化が進んでいる。いずれは村も無くなってしまい、信仰も無くなってしまう、、、、
信仰のなくなった神様は、一体どうなるのか、、、、、
そう考えていると、蛇が3人の前に現れ、おばあちゃんの行っていたことが本当だったことがわかりました
そして山の反対側から、どん、どん、と太鼓の音がしてきました
山の反対側も今日お祭りをしているみたいで、高槻先生の好奇心でそちらにも調査に向かうことになりました
山の反対側は、小山村の鏡合わせのような形の境内をしてました。お社では「大歳神」が祀られ、それも農業の神様でした
神社の階段を下った先が広場になっていて、そこに櫓が組まれて祭りの準備がされていました
反対側は活気があふれていました
階段から降りてきた3人に気づいた人が怪しみますが、高槻先生の笑顔と大学教授の肩書きが役に立ち、祭りの設営を手伝いながら祭りの話を聞くことができました
反対側の村
「お山の向こうはお化けが出るから行くな」
「森に入るな、お山の向こうに行くな」
「夏の夜には死んだ人が森を歩くから、気をつけろ」
と子供の頃から親に言い聞かされていました
山神様、という言葉は知っている者はいなかった
3人は「東京から来た学者先生御一行」と言う名で祭りの来賓席にいて祭りにも、高槻先生の持ってきた狐面と赤鬼面を付けて参加しました
佐々倉さん:黒狐面
高槻先生:白狐面
尚哉:赤鬼面
屋台をまわり、高槻先生だけは村の女性達に連れられ盆踊りもしたので、小山村の方へ帰ることにしました
時刻は8:30
小山村の方ではもう祭りは終わってます。高槻先生はわざとこちら側の祭りに参加して、時間をつぶしてたのでした
懐中電灯で暗い森を照らしながら、小山村側の神社に辿り着き、広場にを見下ろすと青い提灯が掲げれらていたました
尚哉はそれに息を呑みましたが、今は現実世界見たいです
旧小山村の祭りについて
- 村では2つの盆踊りをしていた
- 赤い提灯の普通の盆踊り。8時には終わる
- 青い提灯の死者のための盆踊り。8時以降に提灯を取り替えて行っていた
- お山の下には読みの入り口と繋がっていると信じられていた。お盆になると死者は戻ってくる。彼らを慰撫するために、盆踊りの場を設けた(村の死者との付き合い方)
- 村では戻ってくる死者は、生者にとって危険なものと考えられていた。特に子供に危険なものと、、、、
- 初めは死者と付き合うための形だけのものだったはず。太鼓を叩けば、追い払った子供達に気づかれてしまうので、叩きはせずに叩くふりをしていたはず
- 尚哉と遠山さんが参加した本当の青い提灯の祭りでは、太鼓の音が聞こえるはず
- 太鼓の音が聞こえる祭りが「死者の祭り」
高槻先生の仮説により、広場からは太鼓の音が聞こえない。
広場に向かう石段の途中で、尚哉は囁くような声が聞こえ
ーータ……カ……テキタ……
ーーカ……キタ……エッテ……タ……
ーーキ……ッテ……ッテキタ……カエッテ……カエッテキタ
(p188-189)
足を止めます
囁く声が鮮明になり、太鼓の音まで拾った瞬間、音にビックリして石段から足を滑らしてしまいます。最後に高槻先生の声が聞こえました
[jin-w-sen color=”#c1e4e9″ size=”10px”]
肩を揺さぶられ、目を開けると目の前には白い狐の面が、、、、でもそれは高槻先生でした。斜めにつけてたはずの面を、今はちゃんと付けています
尚哉も赤鬼面をちゃんと付けていました
あたりを見ると、青い提灯と太鼓の音のあの広場
人もいて、着物や洋服など様々な装いで共通してお面をつけていました
尚哉が10歳の時に体験したあの祭りでした
高槻先生は尚哉が階段から落ちそうになったところを、手を掴んで止めようとしましたが、一緒に落ちてしまい気づいたら、尚哉と一緒にココに倒れていました
佐々倉さんはこの場にいません。おそらく、元の場所にいると高槻先生は考えています。高槻先生と尚哉の居るこの場は、異界か現実と異界の狭間にいると思われます
尚哉はさっきのささやきに「帰ってきた」と言う声を思い出します。きっと死者達は尚哉を待っていたのだと、、、、、
高槻先生は尚哉を鼓舞し、気づかれる前に隠れようとしますが、盆踊りをしていた死者達は尚哉と高槻先生を見つめていました
「気づかれた」ことに気づき、尚哉と高槻先生はその場から逃げます
高槻先生が尚哉の手を掴んで走り出しますが、逃げる進路は塞がれています。群れの少ない方へと走りますが、尚哉の服の裾を引っ張る手を振り払った時、尚哉と高槻先生の手が離れてしまいました
いつかの夢を思い出ます。夢なのか現実なのか、でも今引き倒された時の痛みは本物でした
高槻先生が尚哉を呼ぶ声の方へ手を伸ばすと、引っ張り出され、また森の中へ走り出します
逃げて逃げて逃げて、、、、
尚哉は逃げてる途中、何度か意識が飛び過去の出来事が目の前に広がっていました
母と父の危うくも保たれていた均衡を尚哉の一言で壊してしまった時のこと。小学5年生の時に嘘つきな悲劇のヒロイン風のクラスメイトに「嘘」の理由を聞いた後のクラスで孤独になった出来事が、、、、、
意識が戻ると尚哉は逃げてる途中で、つけていた面が外れ、頭からは血が出ていました。でも怪我した覚えはなく血の出ている場所は、さっき意識が飛んでいた時に思い出してた小学5年の時に怪我した場所でした
血の出ている場所は縫った傷が残っていて、でも今更そこから血が出るなんておかしいことに気づき、今この場でおかしなことが起こっている、と感じました
手を掴んでいる高槻先生にこのことを伝えようとしますが、呼びかけても返事がありません
逃げることに必死で返事ができないのか、、、と思ってると、いつまでも森を抜けないことにおかしいを気づきます
そして、今の状況に既視感を覚えます。目の前で走っているのは高槻先生なのだろうか、、、、と
高槻先生だ、と自分に言い聞かせますが、自分を握っている手が冷たいことに気づきます。今、全力疾走しているのに、掴んでいる手が冷たいことに、、、、
その時後ろから声が聞こえます
「その坂をそれ以上下ったら駄目だ!深町くん!」
と、、、、尚哉は初めて自分が下っていることに気づきました
その声は後ろからして、でも目の前には高槻先生の背中がある。本物かを問いかけると、狐面をつけた人の声は肯定しながらも、歪んだ声をしていました
掴まれてる手を振り払い、目の前を暗闇が支配します
高槻先生と佐々倉さんを呼びかけても返事はなく、静寂だけが残ります
尚哉は沙絵さんの発言を思い出します。さっき取る手を間違えてしまったから、自分は本当に『孤独の呪い』を発動させてしまったのだと、、、、
先程の過去の悲痛な出来事に思考が引っ張られ、暗闇に身を委ねようとした時、
声がしました。過去の出来事の声
一緒に花火をした高槻先生、瑠璃子先輩、唯先輩
自分にいつも話しかけてくれる、難波
頼っていいと連絡先を渡してくれた、佐々倉さん
『うん、要はね、好きなものをたくさん増やしなさいって意味だよ。好きなもの、楽しいこと、大事だって思える何か、僕らはそう言うものをたくさん持っておくべきなんだ。そういうものが、僕らをこの世界に繋ぎ止めていてくれる』(p211)
と、澄んだ声で尚哉に語る声が聞こえてきました
尚哉は、もう自分が独りでないことを気づきます。
目の前はまだ暗闇だけど尚哉は奮い立ち、また歩き出します
今度は呼びかけると高槻先生の返事が聞こえました。声のする方へ走り出すと、膝をついてへたり込んでいる高槻先生がいました。
顔には殴られたような痕があり、死者に殴られたのか?!と聞くと高槻先生は「父に……」と返事をしました
高槻先生も昔の出来事の幻を見ていたみたいです。
顔に殴られたあとと、背中の、あの傷跡が今、血を出してシャツに大きな染みをを作ってました
高槻先生は、さっきまで急に走り出した尚哉を追ってきていたみたいです。途中からものすごい坂になり、黄泉比良坂を思い出してました
2人は現世に帰るために歩き出しました。どう帰るか考えてると、佐々倉さんの自分たちを呼ぶ声が聞こえてきてます
高槻先生は尚哉に「坂道を登っている途中、振り返ってはダメ」と注意し、足を進めます
登っていた坂はいつの間にか平坦になり、あの広場に戻ってきました。でも目の前は死者の群れが2人を囲んでいます
群れの中から、ひょっとこ面とおかめの面を付けた2人が前に出てきました
死んだ祖父と祖母です
祖母は、「生きてるものは山神様に代償をまた差し出さなくてはいけない」と尚哉に言います。
尚哉はすでに1つ飴を食べている。他の2つからかと思っていると、「寿命半分」を求められました
尚哉は前回と違うことに反発していると高槻先生は割り込み、尚哉と高槻先生の平均寿命までの残りの年数を足したものを、高槻だけから取れと交渉し出します
尚哉は高槻先生の申し出に反発しますが、その理由に「君の先生だから」と尚哉を黙らせます
尚哉を自分の好奇心に巻き込ませた、と尚哉に懺悔しますがそんなので尚哉は納得しません。だって、レポートにこの話を書かなければ、高槻先生はココには来なかったのだから、、、、と尚哉は後悔して、なんとか高槻先生の申し出を阻止しようとすると、、、、
のんびりとした声が、空気を壊します
牡丹の浴衣を着て、小面を付けた沙絵さんでした
高槻先生と尚哉を助けに来てくれたみたいです。
突然の沙絵さんの登場に尚哉と高槻先生はビックリして「どうしてここに?!」と問い詰めている間に、沙絵さんはさっきの高槻先生の合算ルールで3人分の寿命(300年)を沙絵さんから山神様に差し出す交渉をしてしまいました
あっさり交渉を終えてしまい、沙絵さんは尚哉と高槻先生を連れ出します。
尚哉は沙絵さんに冗談でしょ!と問いかけますが、沙絵さんの言葉には歪みがありませんでした
そして
「八百比丘尼の『八百』は、その数字の通りの八百年じゃない。末広がりの八に、『たくさん』って意味の百をかけてーー永遠って意味なんだから」(p228)
と自分の正体??を明かします
呆けている2人を沙絵さんが引っ張り石段を登っている途中、高槻先生は死者の群れに向かってさっきの怪我痛みつきの幻は実体験なのかを聞くと、ひょっとこの麺を付けた祖父が頷きました
その瞬間、高槻先生は歓喜に加え怒りに満ちた表情を尚哉は見ます
尚哉が高槻先生に何かを言おうとした時、お山が動いたかのように揺れ尚哉は意識をうしなてしまいます。身元では沙絵さんが囁いていました
目を覚ますと佐々倉さんが必死の形相で尚哉を起こしてました。
尚哉は体を起こした時に青い提灯に目がいきビックリしますが、辺りは明るく朝を迎えてました
高槻先生はすでに起きていて、背中の怪我の手当をと進めますが2人の怪我はなくなっていました
佐々倉さん曰く、2人は石段で2人共足を踏み外して佐々倉さんが高槻先生を支えようと手を伸ばした瞬間、消えてしまったらしい、、、
2人の荷物、持っていた懐中電灯を残し、2人だけ居なくなってしまったと、、、、
まるで神隠しのように、、、、
佐々倉さんは夜中中、探し回り、走り回り
朝になった時、広場の隅に2人見つけました。
踏み外して転がったなら石段の下にいるはずですが、2人は石段かた離れた場所に倒れていました
そこに沙絵さんはいませんでした。でも沙絵さんが付けていた小面の面はその場に残ってました
思案してると、昨日の昼間にあった中村さんが原付バイクでこちらに声をかけながら向かってました
辿り着くなり、尚哉の五体満足無事を確かめます
尚哉の無事を涙を滲ませて喜んでしました。そして『死者の祭』について話くれました
死者の祭
死者の祭
お山のこっち側でには死者が出る。そういう言い伝えは、ずっと前から伝わっていた。
中村さんや村の大半は見たことないが、たまに見たって人がいる。
向こう側の村はそれを嫌がってこちら側との交流を断っていて、だから黄泉の入り口はこっち側に開いている、と村の人たちは思っている
言い伝えでは、最初は盆踊りをするだけだった。でも、祭りの晩に遅くまでいた子供達が行方しれずになることが続いた。あるいは、戻ってきても、様子がおかしくなり死んでしまうこともあった。
村のご先祖様達は、原因を山神様にとられたからと考えた。
山神様は死人を管理する神様
時々死人と間違えて、生きた人間を連れて行こうとしてしまうのかもしれない
だから、盆踊りを分けた。赤い提灯と青い提灯で。
子供には赤い提灯しか参加させず、青い提灯の祭りは大人になるまで秘密にさせた。子供がいなくなってしまうと、村を存続できないから、、、、
青い提灯の祭りには、祭当番を定めた。太鼓番でであり、面を付けて太鼓を叩くふりを2〜3時間して帰っていいことになっている。
その太鼓番で、死人を見たものもいた
でも、青い提灯の祭りの存在を隠しても、たまに「行った」という子供がいた。その子供達は大抵、耳をおかしくして戻ってきた。
中には、急に話さなくなったり、歩けなくなったりした。
そして、耳、口、脚の異常の苦に自殺してしまう子がほとんどだった
大人になる子もいるが、村に戻ってきた時に再び青い提灯の祭りに呼ばれてしまい、帰ってこないことが多かった。
だから、村ではそういう子が大人になって戻ってきても、山神様のことは教えずに、村から追い払っていた。
村にはルールがありました。この村の秘密をよそ者に話してはいけないと、、、、
高校から、大学から、村を出ってってしまった者も、、、、
だから大学を機に村を出た尚哉の母は、祭りのことを知らなかったのです
村の過疎化が進み、祭りを続けるか否かを話し合いました。赤い提灯の祭りは取りやめ、青い提灯の祭りは可能な限り続けることに決まってます
死者を、先祖を大事にする気持ちが大事だと思い、可能な限り続けることにしました
高槻先生は中村さんの話を聞き、昨夜の体験を振り返ります。
そして2人が見た過去は実体験なのだと確信してます
高槻先生は思い出したと言います。背中の傷を負った時のことを
神隠しに遭った時、
大きな手のひとが、『帰りたい』とお願いする高槻先生の背中に、、、、、
とのところで、高槻先生の様子がおかしくなり、背を丸め、その表情はなくなってました
「駄目だ。お前は、思い出してはいけない。ーーそれは、約束違反だ。彰良」
と高槻先生が呟き、佐々倉さんが俯いた顔を上げさせると、その瞳は藍色に燐光してました
そして電池の切れたかのように、気を失ってしまいました
高槻先生はしばらく目を覚ましませんでした。東京へ帰る高速に乗っている時に、15日の夜の走馬灯のことを佐々倉さんに話し、そしてその時高槻先生の背中には傷があり、そのことを思い出したはずの事も伝えました
後ろでうめき声が聞こえ、高槻先生が目を覚ましたことで大丈夫か聞くと、高槻先生の記憶は14日の朝に戻ってました。
14〜16日の長野で過ごした起った出来事の記憶がすっぽり向け落ちてました
【extra】マシュマロココアの王子様
生方瑠璃子は、同年代の友人と女子会をすると必ずって言うほど高槻先生との恋愛トークの話になります
もちろん、そんな展開にはなっておりませんし、なりません
瑠璃子にとっての高槻先生は、マシュマロココアの王子様という皆のアイドルなのです。
高槻先生に対して瑠璃子は結婚などといった生々しいものではなく、ぽわんとした丸い感情を持ってました
瑠璃子は、高槻ゼミの一期生でした
講師時代から高槻先生は人気で、ゼミ募集の倍率も高く抽選をされました。でも後で高槻先生から「実は抽選前から自分で選別してた」と聞かされ、純粋に民俗学を学びたい瑠璃子達を選んでくれていました
しかも大学院に進もうか迷っているのも、誰にも相談してもないのに見抜かれていて、迷っている時期でもありました。純粋に嬉しく、院への進学を決めたのは、高槻先生がいたからでもありました
瑠璃子は院試験も突破し、高槻研究所の初院生になれました
高槻も喜んでくれてお互いの呼び方を変えて、愛称で呼ぶようになります
瑠璃子は研究室にいるようになり、高槻先生の生体を知るようになります
実は方向音痴だったり、マシュマロ入りのココアしか飲まないこと。強面の幼馴染と今だに交流があること。子供っぽいところや、興奮するとネジがぶっ飛ぶことも知るようになりました
先生のもとに一般の人から怪異っぽいものの相談事や調査をする事もあり、瑠璃子もそれに同行した事もあります
高槻先生は本物の怪異を求めていますが、怪異を装ったものばかりで人間による仕業ばかりで、でも高槻先生は良い方へ良い方へ相談者や当事者達を導いていってます
横で人を導く高槻先生を見て、本当に優しい人だと瑠璃子は思ってます
瑠璃子が修士2年の時、高槻先生の背中の秘密を知ります
研究発表会の帰りに高槻先生と2人、ひどい雨に振られ、びしょ濡れになってしまったことがあり、その日も高槻先生は紳士でした
瑠璃子の濡れてしまった服を隠すためにジャケットを貸してくれて、帰りはタクシーでの提案もしてくれました。
2人でタクシーを待ってる時に何台か見送っていて、瑠璃子は乗り込むまでその理由はわかってませんでした
高槻先生はわざとタクシーを見送ってました。見送ったタクシーは運転手が男性で、捕まえたタクシーは女性でした。どこまで、優しく、紳士なんだ
瑠璃子はタクシーを捕まえに先に雨の中出た高槻先生を追いかけた時に、高槻先生のシャツに透けた背中を初めて見ます。背中にあった傷跡を、、、
それに瑠璃子が気づいたことに気づいた高槻先生の表情が強ばり、瑠璃子は瞬時にこれは触れてはいけないことと悟ります
タクシーに一緒に乗らない高槻先生に、瑠璃子は借りていたジャケットを返し高槻先生と別れました
外で手を振る高槻先生に瑠璃子は言いようのない不安を覚えました
高槻先生がどこかへ行ってしまう不安にかられます
優しい高槻先生は、幸せな家庭で過ごして、優しい人に囲まれてきたから、あんなに優しいのだと思っていました
でも、傷跡が残るほどのことが高槻先生の身に起ったことがある
高槻先生はただの天使ではなかった、、、そう想像してた自分に瑠璃子は恥ずかしくなってしまいます
高槻先生と次に会った日、「怪我をした」以上のことは言いませんでした
瑠璃子は高槻先生に
「……どこにもいっちゃ嫌です」
「どこかへ行ったら、ちゃんと戻ってきてくださいねって意味です」
とお願いをします
高槻先生はそこにいるだけでいい
それが瑠璃子の願いでした
研究室のドアを開けるたびに、高槻先生がそこにいることを今日も確かめます
おわりに
高槻先生の講義
- 百物語
- 『フルヤモリ』
- 花火:厄落とし
- 炎:不浄を焼く神聖なもの
- 盂蘭盆会
- カミ信仰
- 盆踊り、踊念仏、念仏踊り
- 盆踊りの時の笠や頭巾の意味:死者と生者の区別をするための意味もあった
澤村先生の小説は、ライトノベルの様で読みやすいのももちろんなのですが、高槻先生への妄想力が膨らみます。
魅力的なのは、もちろん民俗学の題材
今回は夏の題材でした
まるで大学の講義を受けているかの錯覚を起こしてしまう文章に、ページをめくる手がやはり止まりませんでした
読書家の方は1日で2回は読めると思います(笑)