まとめ

『准教授・高槻彰良の推察』《もう1人の高槻》は何を見てる??

キカゼ
キカゼ

6巻にて高槻先生の《もう1人》について詳細が出てきました!
青い瞳に変わった瞬間はいつなのか
《もう1人》は何を見ているのか

1巻から見てみたいと思います!

ちなみに!
何も分かってないので!!

ご注意を!!!

 

ペン
ペン

途中、海野沙絵の瞳にも

高槻先生と同じような描写があるので

そこも注目です!!!

※6巻を読んだ後の再読での記録なので、1巻のみですと不明瞭な部分があるかもす。ご了承ください

 

《もう1人の高槻》について

  • 高槻が神隠しに遭った後から出現するようになる
  • 青い瞳を持つ高槻
  • 高槻の意識、主導権を奪うことができる(その間のことを高槻本人は覚えてない)
  • 主導権は主に高槻彰良本人。
  • 神隠しの間のことを知っている
    思い出すことは約束違反・・・・と言って、忘れさせることもできる(5巻、6巻)
  • 長野の祭りの日のことは見ていない、高槻を通して尚哉の話を聞いている描写がある(6巻)

 

登場場面

1巻 民俗学かく語りき

6月の初め 高槻が尚哉の書いたレポートのオマケの件で呼び出した日

研究棟に移動の時に、にっこり笑って高槻が尚哉を見た時(p41)

これは、初めて近くで正面から尚哉と先生が対面したところです。「はじめまして」だから青みがかったんだと思うのです

 

 

研究室でトレーで飲み物を運んできて、考え込んでボーっとしてた尚哉を覗き込んだ時

この時尚哉は、聞き心地よくて嘘の声が混じらない先生の声に「騙されてはダメ」と自身に暗示をかけてました(p51)

その思考さえも《もう1人の高槻》は読み取ろうとしたのだろうか……

 

 

「第一章 いないはずの隣人」の犯人をどうして最初から疑えていたのかと質問した時(p111)

高槻と《もう1人》が尚哉を探るような視線。

尚哉の明かされない秘密をどうにかして読み取ろうとしているかのよう……

 

 

怯える二人の女子を見つめる高槻の瞳が、また青みをおびた気がした(「第二章 針を吐く娘」p160)

相談者の2人が怪異の影響、影があるのか観察しているのでしょうか……

 

 

夜空の色に染まった瞳が、尚哉を静かに見つめていた(「第二章 針を吐く娘」p210)

尚哉の耳のことがバレて、全てを打ち明けた上で「これからも傍にいてほしい」と先生が尚哉に告げる場面

尚哉は尚哉で、今まで抱えてきた秘密を打ち明けて、自分のことをどう思うのか審査を受けている気分だったのだろうな、、、、「これからも傍にいてほしい」なんて思ってもみない言葉だっただろうし

先生の視点では「一緒に解き明かそう!」って感じなのかもしれないが、《もう1人》の視点ではどう思っているのか不明です、、、、「やっぱり怪異に遭っていたのか」って感じなのでしょうか??

 

 

見開かれたその瞳が青い燐光を放っているように見えて、尚哉はぎょっとする(「第三章 神隠しの家」p259)
青く光る瞳に恐怖を一杯にたたえて、高槻が言う(p260)

大麻を栽培していた男たちに見つかり、逃げた先が鳥の巣がある部屋で、鳩の羽音を聞いた高槻先生が怯え狼狽する場面

何かに怯えるように呟いていますが、その瞳は現実を見ていない感じでした

「嫌だ……やめて、頼むから」

「僕は……僕は、そっちへは……行か、ない……」

「第三章 神隠しの家」p260

どこかへ連れて行かれるのを拒んでいるような返事

「誰に」「どこへ」、連れて行かれそうになっているのか、、、、、

 

これは《もう1人》が見ている、というより高槻の意識がトリップしているのかのよう、、、

 

 

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2巻 怪異は狭間に宿る

普段は焦げ茶色のはずのその瞳は、いつの間にか青みを帯びている。まるで夜のような、深く昏い藍の瞳。(p48「第二章 学校には何かがいる」)

学校では何故「怪談」が発生するのか。高槻先生の解釈を説明し始める場面です。

怪談側の話をするためか、、、《もう1人》が垣間見て説明してるのでしょうか

 

 

非日常と言うならば、こういう目をしているときの高槻こそ非日常だと尚哉は思う。吸い込まれそうな夜空の瞳を間近で見る度、息を呑みそうになる。(p50「第二章 学校には何かがいる」)

原因のロッカーが置いてある教室に来て、『非日常』の最中であるロッカーのある教室を「君は怖い? この部屋に入るのが」と問いかける場面

尚哉の身に起こった怪異を知ってる先生。また怪異に遭うかもしれないとふっかけているのか、「それでも君は怪異のある場所へ進む?」と《もう1人》が問いかけているように感じる

 

 

「だって僕も君もーーたとえ力がなくなっても、過去の体験に変わりはないんだから」

その言葉にびくりとして、尚哉は思わず高槻を見上げた
夜の瞳がそこにあった
さっき飯沼が言っていたことなんてやっぱりでたらめだと思う。この瞳は、西洋人の血が混じっているからなんていう生易しい理由で済む話じゃない。こんな色の目をした人間なんて見たことがない。底なしの夜闇に無数の星の瞬きを撒いたかのような瞳。そう、これは、かつて尚哉が真夜中の祭に参加したときに見たのと同じ夜の色だ。

(中略)

「そう、だからーー君の心配は全くの杞憂だったってこと」
にこりと、高槻が笑った。
夜空の瞳が人懐こい光を浮かべた焦げ茶色に変わり、尚哉は小さく息を吐き出した。(p198-199「第二章 スタジオの幽霊」)

尚哉が「常人と変わらぬ耳に戻ったかも?」そしたら「尚哉はいらない?」と不安に思っていたことを高槻に吐露した場面です

《もう一人》としてはまだ出てきていない場面です。

過去に体験したことは変えられず、高槻先生の目も、尚哉の耳も元には戻らないとの表現された場面なのでしょうか

 

 

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3巻 呪いと祝いの語りごと

笑みを浮かべたまま図書館を見つめる高槻の瞳は、いつの間にか青みを帯びていた。恐ろしいほど深く昏い藍の色を宿す。まるで夜空のようなあの瞳にこの世界はどのように見えているのだろうと、いつも疑問に思う。(p69「第一章 不幸の手紙と呪いの暗号」)

まだ見ぬ「図書館のマリエさんの呪い」が語られる図書館を見つめているシーン

《もう一人」には透けて見えるのだろうか、、、、

 

 

高槻は唇に笑みを浮かべながら、斜めに尚哉を見下ろした。
その瞳の中には案の定、藍の色が宿っている。頭上の空は分厚い雲にすっかり隠されてしまっているというのに、昏い藍色を宿したその瞳はまるでそのまま夜空に通じているかのようだ。それも都会の灰色に煤けた空などではない、田舎にでも行かないと見れないような、何万光年先の彼方まで見通せそうなほどに澄んだ底なしの夜。

(中略)

足を止め、夜空の色をまとわせた瞳で、図書館の方を軽く振り返る。(p91−92 「第一章 不幸の手紙と呪いの暗号」)

「図書館のマリエさんの呪い」を解決後の振り返り。

2階に居たのに、1階にある児童書の本が突如現れた謎。

マリエさんの幽霊の仕業なのか、、、、本当の幽霊が住み着いているのか

 

 

「ほら、これとか。ーー目、やっぱり青くなってんじゃん。気になる人だよなー、本当」
飯沼が示したその写真の中で、振り返った高槻の瞳は藍色に染まっていた。(p120「第二章 鬼の祀る家」)

フリージャーナリストの飯沼が山梨で高槻先生を見つけて尾行してる写真を尚哉に見せる場面です

飯沼は望遠カメラを使って撮影していたみたいですが、高槻先生は視線に気づいて、超記憶力で視線の先を見つけてました

《もう一人》も飯沼を認識したことになるのでしょうか

 

 

わずかに藍の色がちらつく瞳で霧島を見下ろし、高槻は甘く柔らかな声で告げた。(p134「第二章 鬼の祀る家」)

瑠璃子先輩の両親が経営するペンションで、高槻母のお茶会に参加していた霧島彩子に話しかけられて、笑顔で反撃する高槻先生

《もう一人》は高槻先生を守ろうと威嚇したのか、それとも超記憶力を発揮したから瞳が藍に染まったのか、、、、

 

 

尚哉が声をかけると、高槻はふっと顔をこちらに向けた。
額を押さえたままの手の下から斜めにこちらを見た瞳は、藍色に染まっている。昏い色をした夜空の瞳が、尚哉を見据えた。
ーーその瞬間、なぜだかぞっとした。
まるでものを見るような眼差しだった。
普段の高槻とはまるで違う、なんの温度もない瞳。
ゆっくりと高槻がまばたきをする。長い睫毛が一度その瞳を閉ざしても、夜空の瞳は消えない。むしろより藍の色を濃くしたように思えて、尚哉は再び寒気を覚える。

中略

気がつくと、高槻はもうすぐ目の前まで迫っていた。ゆらりと体を起こす。わずかに左に傾いた顔が恐ろしいほどの夜を抱えた瞳が、尚哉を覗き込む。
反射的に尚哉は目をそらした。もう何度も見てきたはずの高槻の瞳に、どうしてかひどい恐怖を感じる。決して覗き込んではならないものに思える。けれど、それは許されなかった。高槻がさらに顔を寄せてくる。無数の星のまたたきを抱えた本物の夜が、呼吸が触れるほどの距離から尚哉の瞳を覗き込んでくる。
「……っ」
尚哉は息を呑んだ。
見る度に思ってきた。この瞳は、尚哉がかつて行ったあの真夜中の祭りで見た夜空と同じものだと。この人の瞳は、あの夜にーー異界としか思えなかったあの場所に通じている。尚哉の側から深く覗き込めばそのまま引きずり込まれ、あちら側の世界に放り出される。そんな気がしてならなかった。
そして、今ーーその高槻の瞳を通じて、高槻とは違う別の誰かが、こちらを見つめている。尚哉の顔を覗き込んでいる。
夜が、こっちを見ている(p190-191「第二章 鬼の祀る家」)

高槻先生が鬼の頭を投げ捨てた滝に、落ちてしまったその夜。気絶していた高槻先生が瞳の色を変えて起き出したシーン。

この時は高槻先生の意識はなく、《もう一人》が体を動かしている感じです!

 

尚哉が初めて《もう一人》と対峙したシーンと言えるのではないでしょうか!?

でもこの時は、尚哉を見つめているだけで全く話しませんでした

 

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4巻 そして異界の扉がひらく

間近から遠山を覗き込む高槻の瞳は、いつの間にか青み帯びている。底知れぬ夜の闇の色をした藍の瞳に気づいて、遠山がかすかに息を呑んだ。

(中略)

高槻の瞳が藍色を増す。そこには本物の夜がある。ずっと眺めていたら息が止まりそうなほどに静謐で、下手をすれば魂ごと飲み込まれそうになるくらい深淵なる夜の空。

(中略)

ぎこちなく、遠山が何かを言いかける。必死に高槻から目をそらそうとしているようだが、眼鏡の下の瞳は高槻の瞳を見上げ続けている。尚哉には遠山の気持ちがよくわかる。高槻の、あの夜空の瞳には、抗いがたい力がある。いつもあの瞳に覗き込まれると、隠しておくべきことまで口にしてしまいそうになる。

(中略)

眼鏡の下の遠山の目が瞠られた。
ぱちり、と高槻がまばたきをする。途端に瞳から、夜空の色がかききえる。(p105-107「第一章 四時四十四分の怪」)

「四時四十四分の呪い」の解決後、遠山さんの秘密を暴こうとしている場面です。

遠山さんの中にある、ある秘密を覗き込もうとしているのだろうか、、、、

 

 

そこに泳ぐ謎の女性を探すように海を見つめる高槻の瞳に、ちらと藍の光が混じる(p 196「第二章 人魚のいる海」)

スポーツ新聞で「人魚が出た」と載り、その調査で稲村ヶ崎に。

海に出たので海を見ていますが、海を見つめて何かが見えるのか、、、、

 

 

沙絵さん
沙絵が顔を上げた。
尚哉の手をつかんだまま、真っ直ぐにこちらの目を見据えてくる。光の加減のせいもあるだろうが、沙絵の瞳は真っ黒だった。尚哉はびくりとして顎を引く。
どうしてだろう。今一瞬、高槻の瞳を思い出した。色合いは違うのにーー今にも瞳の奥に引きずり込まれそうな感じが、あの夜空の瞳によく似ている気がした。(p207「第二章 人魚のいる海」)

人魚調査の途中で昼食を取ったレストランで出会った沙絵さんに手相をしてもらっている場面。

尚哉は手相をしている途中に見つめられ、沙絵の瞳が高槻先生の藍色の瞳にそっくりと感じました。

沙絵は手相から尚哉の手に目を瞠り「面白い手相」と評しました

 

 

沙絵さん
沙絵は高槻に手を広げ、ふと表情を止めた。
目線を、高槻の手のひらから顔に移す。沙絵の目は再び瞠られていた。
「……どうしましたか?沙絵さん」
落ち着いた口調で高槻が尋ねる。
沙絵が手をのばした。高槻の頬に両手を添え、己の方へ引き寄せるようにして、高槻の瞳を覗き込む。高槻は逆らいもせず、されるがままに沙絵を見つめ返す。
あともう少しでキスできそうなほどの距離から高槻の瞳を覗き込む沙絵の瞳は、やはり真っ黒に見えた。かすかに眉をひそめた高槻の、その瞳の奥に藍の光がちらつくのを見て、沙絵はさらに目を瞠る。
「……誰なの?そこにいるのは」
沙絵が呟く。(p208「第二章 人魚のいる海」)

沙絵さんは高槻の手相とした時の場面。

高槻の中にいる《もう一人》を見据えたのか。その問いかけは《もう一人》に届いているかは分かりません

 

 

沙絵さん
「不思議な物語を研究しているっていう割に、先生は夢物語を否定するのね。でもこの世の中には、人の理から外れたことだって意外と普通に起こることを、先生は知っているんじゃないの?」
「さあ、それはどうでしょう。僕は日々本物の怪異に遭遇することを切に願ってはいますが、なかなか上手くいきません」
「あらそう。その目は、それならきっと節穴なのね。意外だけど」
「……それはどういう意味です?」
高槻が眉をひそめて沙絵を見る。
沙絵は高槻を見上げたまま、ふっと唇に笑みを浮かべた。
「さあね? 自分で考えなよ、先生」
三日月のように細めた沙絵の目の奥で、真っ黒に染まった瞳が高槻を見つめる。つられたように、高槻の瞳に淡く藍の光が宿る。高槻の瞳が無数の星を抱えた夜空なら、沙絵の瞳は月も星もない完全なる闇夜の色だ。何も見えないーー全てを呑み込む漆黒。(p230-231「第二章 人魚のいる海」)

陸くんへのお母さんの演出をやめるように忠告する場面。高槻先生と沙絵さんの応酬。

「先生は知ってるんじゃないの?」に込められた意味は?!
高槻先生は怪異に遭ったことがある、ってことなんでしょうか?

「節穴」に対しては、「目の前にいるのに」ってことだと思うのですが、、、、、

 

 

高槻が尚哉を振り返った。
大きく見開かれたその瞳が深い藍色に変わっているのを見て、尚哉は息を呑む。(p235「人魚のいる海」)

忠告した沙絵さんと別れて、海沿いの歩道を歩いている途中、海の沖の方で人影を見た場面。

その顔をよく見ようとして色が変わったのでしょうか、それとも人魚かもしれないから変わったのでしょうか

 

 

「そうよ。イギリスでは、人がいなくなるときは、妖精にさらわれたとか、妖精の国に行ってしまったとかって考えることが多いの。他愛のない昔話だけどね」
「ふうん……そうなんだ」
彰良が少し目を伏せる。
長い睫毛の下のその瞳が急に青みを帯びた気がして、渉は驚き、
「彰良?」
思わず声をかけたら、彰良はハッとしたように渉を見た。
取りなすような笑みを浮かべたあ彰良は、もう普段通りの焦げ茶色だ。(p270「【extra】 それはかつての日の話Ⅱ」)

高槻先生が渉さんのところで過ごしていた時の出来事です。

青みに気づいたのは渉さん(初めて)

でも渉さんの呼びかけで「ハッ」となってる高槻先生は自分の瞳が青み帯びているをの築いているのだろうか?と思わせる気づき方なような気がしました

それとも、同じような呼びかけをされ、指摘をされ、気づいたのだろうか、、、、、

 

 

「……彰良?」
いつの間にか、彰良が目を開けていた。意識が戻ったらしい。
よかった、と思って、そのまま話しかけようとしてーーどきりとした。

彰良の瞳の色が、変わっている。

普段は日本人らしい焦げ茶色をしているはずのその瞳は、今は深い青にーーいや、藍色に染まっていた。西洋人のブルーアイズとは違う。こんな色の瞳に、渉は今まで出会ったことがない。

こんなーーまるで夜空をそのまま切り取ってきたかのような、深い昏い藍の瞳。
彰良の視線がゆっくりと、渉を捉えた。
……誰だこれは、と思った。
ひとかけらの笑みも浮かべず、藍色の瞳でこちらを見据えてくるその視線には少しの温度もない。いつも仔犬のように人懐っこい笑みを浮かべている顔に何の感情の色も見えないと、その顔立ちが恐ろしく整っていることがよくわかった。
彰良が起き上がる。その視線が外れただけで、思わず安堵の息を吐きそうになる。あの藍色の瞳は、こちらの身の内を凍りつかせそうな寒気を感じさせる。
いやーー寒気ではない。
これは恐怖だ。
自分とは全く異質な存在に出くわしたことによる恐怖。
窓の外に目を向け、彰良が口を開いた。

「ここはーー外つ国か?」

「え……?」
渉は眉をひそめる。彰良はいつも渉と二人きりの時は日本語で、他の者達もいるときは英語で話す。今のは日本語だった。

(中略)

「彰良はーー流されたのか」
「流された?」
思わず問い返した渉を、彰良は無表情のまま振り返った。
それから、ふいとまた窓の方に目を向ける。

「要らないものは流す。流して捨てる。ヒルコやアワシマの頃より、そう決まっている」

(中略)

「要らないなら、もらう」
窓の方を向いたまま、彰良がぼそりとそう言った。

「彰良は、こちらでもらう。ーーもう一度、こちらに戻す」

彰良がふわりと窓枠に飛び乗った。まるで体重を感じさせない動きだった。

(中略)

窓から渉の腕の中に落ちてきた彰良は、藍色に染まった瞳で渉を見上げた。
その瞳に向かって、渉は言った。

「要らなくない」

全くの別人に向かって話しかけているような気分で、渉は言葉を重ねる。夜空と同じ色をした瞳の中に本物の星のまたたきを見たような気がして、ぞくりとまた背筋に寒気を覚える。それでも渉は必死にその瞳を見つめ続ける。
「お前にはやらない。……彰良は俺の大事な甥っ子だ」

彰良はじっと渉を見上げーーやがて、ぱちり、と一度まばたきをした。
急速にその瞳から藍の色が消えていく。普段と変わらぬ瞳の色に戻るまで、たいして時間はかからなかった。(p278-281「【extra】 それはかつての日の話Ⅱ」)

高槻先生が渉さんのところで過ごしていた時の出来事です。

渉さんが初めて《もう一人》と会い、会話をしました!

 

《もう一人》は昔を生きた魂なのでしょうか???

「外つ国」「ヒルコ」「アワシマ」「流す」の表現が昔の人っぽいです

 

「ヒルコ」「アワシマ」は、『古事記』のイザナギとイザナミの国造りの神話の話の一説にあるらしい。

 

この当事者(「ヒルコ」「アワシマ」と過ごした人物)ではなく、、、『古事記』の話に高槻先生を当てはめて表現をしているのか、、、、、

「もらう」というのは「魂をもらう」

ってことなのでしょうか、、、、謎が深まります、、、、

 

  • 《もう一人》はいつの時代を生きてきた者?なのか?
  • 『古事記』話を知っている
  • 「もらう」とは、何を?魂を?どこに?誰に?

 

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5巻 生者は語り死者は躍る

沙絵さん
沙絵の三日月のように目を細めた。
その瞳が一瞬にして真っ黒に染まるのに気付いて、尚哉は息を呑む。
沙絵が少しこちらに向かって身を乗り出した。漆黒の瞳が近づいてくる。この瞳を深く覗き込んではいけない、と本能的に思うのに、目が離せない。それは、高槻の藍の瞳を前にした時の気分と酷似している。
だけど違う。高槻の瞳は、無数の星が瞬く夜空そのものだ。深く昏く、けれど冷たく澄んだ輝きを宿している。それに比べて、沙絵のこの瞳には光がない。深い深い、底なしの深淵を覗き込んでいるかのような気分になる。ふいに何の脈絡もなく、頭の中に昔見たドキュメンタリー番組のナレーションが浮かぶ『深い海の底には太陽の光が届かないため、漆黒の闇の世界となっています』ーーそれはきっと、沙絵のこの瞳のように真っ黒なのではないだろうか。(p81-82「第一章 百物語の夜」)

沙絵さんとの再会で、尚哉が感じた沙絵さんの漆黒の瞳。

尚哉の中に潜む怪異を覗いているのか、、、、、

尚哉は本能的に拒否反応を起こしているのに目を反らせない力があるのか、、、、、

 

 

「……手を取る相手を間違えるな、って」
高槻が立ち止まり、尚哉を見た。
尚哉も足を止め、高槻を見上げる。
じっとこちらを見下ろす高槻の瞳が、見る間に藍色に染まっていく。昏く深い夜空の色に瞳を完全に支配されてしまうと、この人はついさっきまで子供のようにしょげ返っていたとのとは全くの別人のように見える。
底知れぬ夜を瞳に宿して、高槻は形のいい唇に微笑を浮かべた。
「それは一体、どういう意味なんだろうね?」
「……わかりません」
尚哉は首を振った。
高槻の瞳から無理矢理目をそらし、広げた自分の手のひらに視線を落として。
「わからないですけど……その言葉を忘れないように、覚えておこうと思っています」
この手はいつか、誰の手を取るのかという選択を迫られるのだろうか。
そのとき、自分は間違えずに、正しい者の手を取ることができるのだろうか。
高槻が、一度うつむくようにしながら、目を閉じた。長い睫毛に縁どられた瞼が夜空の瞳を隠す。
再び顔を上げたとき、その瞳はいつもの焦げ茶色に戻っていた。(p 117「第一章 百物語の夜」)

『百物語の会』の真相を解き、再開した沙絵さんの伝言を尚哉が高槻先生に伝える場面

 

本物からの伝言。だから瞳の色を変えたのか、、、、、

 

 

ゆっくりと、尚哉は高槻の方に目を向ける。懐中電灯の光に照らされて、高槻の瞳は青味帯びて輝いて見えた。今この頭上に広がる夜空と同じ色。(p182「第二章 死者の祭」)

夜 8時15分  小山村の神社下の広場

広場には青い提灯が掲げられていました

それを観察する高槻先生。本当に怪異かどうを確かめています

 

 

沙絵さん「ちょっと沙絵さん、三百年って!何なんですかその数字!一気に干からびて死んだりしたらどうするんですか!」
「もー、眼鏡くんはおかしなことを言うねー。干からびないよー、あたしのこの美貌は永遠。ダイヤモンドの輝きも永遠」
「冗談言っている場合じゃないでしょう!」
「冗談じゃあないよ?」
沙絵が、ふっと尚哉を振り返った。その瞳が漆黒に染まる。
光の射さない深海の闇の色。
「八百比丘尼の『八百』は、その数字の通りの八百年じゃない。末広がりの八に、『たくさん』って意味の百にかけてーー永遠っていう意味なんだから」(p227-228「第二章 死者の祭」)

沙絵さんが、死者の祭りに迷い込んだ高槻先生と尚哉を助け、自分の寿命を山神様に差し出した後の場面

沙絵さんの突拍子もない寿命の差し出しに、沙絵さんの正体を教えてもらったのかもしれない場面です!!!

永遠の美貌を持つ沙絵さん、一体いつから生きているのか、、、、

 

 

大きな手が見えた」
高槻が言う。狂ったような笑みを浮かべたまま。
「あの時僕が『帰りたい』と言ってあんまり泣いたものだからーー言われたんだ。『そんなに帰りたいなら、帰してやろう』って。そして、あのひとは……大きな手で僕の頭をなでて、それから、僕の背中に」
そこで急に、高槻が口を閉じた。
すっとその表情が凍りつく。
顔に張りついていた笑みが消え失せ、据わった目つきで宙を見据える。

(中略)

「ーー駄目だ」
妙にきっぱりとそう返されて、そうか大丈夫じゃなくて駄目なのか正直だなと、一瞬思った。
違った。
そうじゃなかった。
「駄目だ、彰良」
うつむいたまま、高槻が言う。
不思議に透明なその響きは、間違いなく高槻の声だった。
なのに、まるで違い人間が喋ったように聞こえた。
全ての感情が抜け落ちたかのような、恐ろしいほど静かで平坦な声。
「駄目だ。お前は、思い出してはいけない。ーーそれは、約束違反だ。彰良」

(中略)

高槻の瞳は藍色に染まっていた。いつもよりも輝きが強い。淡く燐光すら放って見えるほどに。よく整ったその目の中で、昏く深く、奥底に無数の星の輝きを抱えて、藍の瞳が輝きをさらに増す。
突然、高槻の頭が、かくりと後ろに傾いた。(p242-243「第二章 死者の祭」)

死者の祭から助けられ、高槻先生は過去のことを思い出した

でも《もう一人》の出現により主導権を奪われ、高槻先生は意識を失ってしまう場面

 

尚哉が、《もう一人の高槻先生》が話たのを初めて聞いた場面でもあります

 

『約束』は、高槻先生と《もう一人》がしていたのでしょうか

それとも「あのひと」とした『約束』ものなのでしょうか

誰と『約束』をしたのか、、、、、

 

 

6巻 鏡がうつす影

ふいに高槻の瞳が青に変わった。志穂の父親が息を呑む。
高槻の瞳の奥で底なしの夜空が口をあける

(「第三章 紫の鏡」p255-256)

高槻先生が、松井志穂の父親の言うことが正反対であることを尚哉の合図で気づき、「本物の怪異かも」と興奮し、松井志穂さんの父親に「鏡を見せて」と迫ってます

きっと、高槻先生の表情は笑顔で、その笑顔が不気味で、尚且つ瞳の色が変わっているからもっと不気味に、松井さん(父)は感じているのではないかと想像します

 

 

その瞬間、高槻の瞳が青く輝いた。

〜鏡を押し倒し、割れる〜

高槻は、倒れた鏡を無表情に見下ろしていた。
その瞳は今もなお、青い光を浮かべていた。
やがて、強い輝きを放っていた藍色の瞳から、まるで波が引くように青みが抜けていく。完全にその瞳が色を戻した瞬間、ピクッと高槻の方が小さく震えた。(p261-263「第三章 紫の鏡」)

松井家の家宝の鏡に姿を写した瞬間、鏡に変化が、、、、

写し出される鏡の中は、目の前ものではなくどこか別の場所で、その中には無数の人が、、、、

鏡の中の人々が鏡を越えて手を伸ばしている先は鏡の前にいる高槻先生なのか、、、?!青い瞳に変わった高槻先生の意識はなさそうで、鏡を倒したのは《もう1人》ではないかと推測

 

 

「……やるものか」

「彰良は、誰にもやるものか」
ーー全身の毛が逆立ったかと思った。

(中略)

高槻が振り返る。
吸い込まれそうなほどに深く昏い藍色の瞳が、冷たく尚哉を見下ろす。
「先生……高槻先生!」
前に、山梨でこの『もう1人の高槻』と初めて会ったときには、こうやって強く呼びかけたら高槻は戻ってきた。だから今度もきっと戻ってくるはずだ。
けれど高槻は、わずかに首をかしげただけで、そのまま尚哉を見下ろし続けている。その瞳はいまだに昏い夜空の色のままで、尚哉はぞっとする。
そのとき、すうっと高槻が身をかがめるようにして、尚哉の方に顔を寄せた。
よく知っているはずなのにまるで別人のように見えるその秀麗な顔を間近で見ながら、直哉はなす術もなく身を強張らせる。
すん、と高槻が小さく鼻を鳴らすのが聞こえた。
「ーーああ。やっぱりまだお前からは、黄泉のにおいがする」
高槻が言う。
いや、違う。これは高槻ではない。『もう一人』の方だ。
「彰良よりも深く黄泉に近づいたせいだ。おかげでよく覚えているのだろう?死者の国の空気を」
淡く輝く夜空の間近から尚哉を見つめ、『もう一人の高槻』はほんのわずかに唇の端を持ち上げた。
笑ったーーのだと思う。
「礼を言わなければな」
感情のない声が、囁くように言葉を紡ぐ。
「あのとき彰良を黄泉から戻してくれて、ありがとう」
高槻のものであって高槻でないその声は、なんだかひどく恐ろしく聞こえる。
尚哉は身動きもできないまま、『もう一人の高槻』を見上げ続ける。
これ以上この瞳を見つめるのは危険だと、本能が全力で警鐘を鳴らしている。なのに目がそらせない。吐息が触れる距離から、本物の夜空を奥底に抱えた瞳がこちらを見つめている。(p271-274「第三章 紫の鏡」)

《もう1人》は、高槻先生を黄泉の世界に奪われないように守っているかのような口ぶりでした。だから、尚哉にお礼を行ったのでしょうか????

尚哉はこのお礼と、鏡から尚哉と高槻を守ってくれたことで《もう1人》は高槻の守護者的存在と認識

 

そして、尚哉の匂いを嗅いで「まだ・・お前からは、黄泉のにおいがする」との発言。それは黄泉のにおいがいつかは取れるとのことなのでしょうか?????

 

『准教授・高槻彰良の推察6 鏡がうつす影』(著・澤村御影)感想ネタバレ 長野での記憶を失ってから元気がない高槻のもとに、絶縁状態だった従弟から連絡が。婚約者の肩に人面瘡が現れたという。高槻と尚哉が赴くと、...

7巻

 

おわりに

 

《もう1人の高槻》の目的が真相を進めるごとに分かれば幸いであります