2013年
本屋さんのイベントの一角で「ワタシの一行」で選ばれた本が平積みになってました
文庫本の帯には、その本を読んだ有名人たちの「本の中から抜粋された一行」と選んだ理由が書かれてました
その時までの私はあまり文字だけの文庫本の類を読んでなく、興味本位で「本の中から抜粋された一行」まで読んでみたく、手に取りました
そこからが私は本を読むことに取り憑かれました
夢中になって「その一行」まで読んで、読み終え
あっという間でした
今でもその最初の一冊は私の繰り返し読む1冊になってます
どこかに、好きな一行を留めておきたくて
ここに書き連ねます
目次から、「好きかも」と思う一文を
ぜひ、選んでみてください
お気に入りの一冊 と 一行
雑音だって、お前を作っているんだよ
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タイミング
「だからさ、タイミングなんだよ。
(中略)
だけどさ、雑音だって、おまえを作っているんだよ。雑音はうるさいんだけど、やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、このノイズが聞こえるのって、今だけだから、あとからテープを巻き戻して聞こうと思った時にはもう聞こえない。おまえ、いつか絶対、あの時聞いておけばよかったって後悔する日が来ると思う」
この前に、彼はある本を身内から勧められて読むタイミングを間違った!!、と思い「タイミング」と「ノイズ」について語ってます。
この本を勧めたいのはまさに「タイミング」
「ちょっとでも早く読んで欲しい」と思う1冊だからです。
それと「ノイズ」について。
10〜20代は特に人からアドバイスを「受ける側」であることが多いと思います。「学びの期間」でもあると思います。
「学び」はいつから始められるものですが、特に多い期間だと思います、
成長し、大学に入学、就職活動、入社、仕事を覚える、人に聞く、アドバイスを受ける
人との関わりを強く感じる期間、時期。
中には煩わしいアドバイス、「ノイズ」があると思います
素直に聴けるうちは良い。
でもいつしかアドバイスされなくなった時、昔のことをテープの様に巻き戻すことは難しい。
「聞いておけば良かった」と後悔。
そんなことにはなって欲しくないのです
なって欲しくないから、「この本」を勧めます
好きという感情
舞台は高校行事なので「恋愛」についても語らっています
好きという感情には、答がない。何が解決策なのか。誰も教えてくれないし、自分でもなかなか見つけられない。自分の中で後生大事に抱えてうろうろするしかないのだ。
好きという気持ちには、どうやって区切りをつければいいのだろう。どんな状態にななれば成功したと言えるのか。どうすれば満足できるのか。告白したって、デートしたって、妊娠したって、どれも正解には思えない。だとすれば、下手に行動を起こして後悔するより、自分の中だけで大事に持っている方がよっぽどいい。
高校生が考えて行き着くものなのか。とも思ってしまいますが(笑)
消極的な解釈かもしれませんが、「恋愛」は2人でするもの。独りよがりでは成立しないものだと思っています。
「好きの正解」にはなっていないのかもしれませんが、ふわふわと曖昧なもの、形のないものに手持ち無沙汰になってしまっている人に、あげたい一文です。
あの一瞬は、今のために
なぜ振り返った時には一瞬なのだろう。あの歳月が、本当に同じ一分一秒毎に、全て連続していたなんて、どうして信じられるのだろうか、と。
新潮文庫の企画「ワタシの一行」でも選ばれていました。
まさに1日1日の連続を分割した時、「あの濃い時間」と「ただの日常の時間」が同じ一分一秒なのかと疑ってしまいます
社会人になって、「あの学生生活は幻だったのでは?」と思う時もあります
でも確かにあった一分一秒だった
「あの幻の学生生活」は「今」この時のためにあったのだと思う時もあります
連続していた学生生活は、連続していく社会生活の、連続の前戯だった
毎日学校に行くのは、毎日会社に行く練習
学校の先生や先輩への接し方、上司や年齢の近い人と接していく練習
宿題の提出は、個々ある締め切りに出す練習
修学旅行は、社員旅行
全て、社会に出た時のための練習だったのだと思う様になりました
生きとし生けるものに、永久不変はありえない
闇の呪縛を打ち砕け
「生きているものは、全て変わるのだよ」
生きとし生けるものに、永劫不変はありえない。ほんの僅かなきっかけで、考え方というものは変わるものだ。
時が移ろえば花も木も姿を変える。人の心もまた同じ。人ならぬ神の眷属であっても、それは同じ。
(中略)
時をかければ心は変わる。
日々感じるものですね
「今思い出してみると、、、、」と思った時、その時とは違った感情が生まれるのではないかと思います
今のその感情は変化した感情ですね。
それは友人関係でも、職場の関係でも言えることだなぁ、と思いました
最初は、いい感情を持っていなかった上司、同期、部下も、付き合ってみると感情が変化することも、、、、
きっと、いい意味でも、悪い意味でも、時をかければ心は変わるものですね
己れの中にないものは決して見出せない
我、天命を覆す
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騰蛇「人は己れの中にあるものだけを相手の中に見る。己れの中にないものは決して見出せない」
十二神将最強は、同胞の神将たちにすら恐れられています
晴明も都の貴族たちから、力としては頼られているが、その出生から真実の知らない貴族たちの憶測で恐れられています
それは、周りの人間から忌まれて疎まれている自分と一緒ではないかと
晴明は、十二神将最強に恐れを超えて、己れの中と同じものを見出した、と感じました。
同じ思いをした人にしか、その思いは分からない。
同じ思いをしてるからこそ、わかる思い
その冥がりに、華の咲く
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本当の守りたいのは、ただひとり
晴明はこれまで、自分は彼岸に近いと思っていたが、人の向かう彼岸ではなく、魔の物の蠢く冥がりこそに呼ばれていたのだと知った。
だから、手をのばすことはもうできない。
(中略)
思い出すことは心を向けることだ。心を向ければ晴明の冥がりに彼女にも及ぶのだ。
守りたい若菜を救う時
ここは冥がりの底。
現世から切り離された、化生の住む異界。
いまならば、きっと許される。二度と関わらない、触れることもないと誓ったのは、光の下だったから。
光の射さない冥がりの底で何があっても、誰も見咎めはしない。
ここでは、晴明自身しか晴明を裁かない。
(中略)
狂おしいほどに、焦がれて焦がれて、ただ焦がれて。
これが最後だ。
冥がりに囚われたその心を、光の射す現世に戻す。
代わりに、この心は冥がりに置いていく。
この身ごと、この命ごと、冥がりに置いて逝く。
純愛
これを純愛と呼ばずに、なんと呼ぶのか
「思い出さないこと」が「守る」ことに繋がるなんて、今の時代では考えられません
これは平安の時代の、妖がいると信じられた時代だからこその、気持ちの向け方なのかもしれません
光の下では結ばれないと思っている晴明
でも冥がりの底ならば、、、、と晴明の想い強さ、頑なさが感じられます
白き面に、囚わるる
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護るために、自分と関わると冥がりに彼女を巻き込んでしまいから
二度と関わりを持たないままでいたい
護るために関わらないなんて、現代では考えられませんよね
現代の漫画でも「離れないで、傍で守ってよっ!!!」
ぐらいのセリフはあります
でもその厚かましくない想いが、声にしない想いが、とても痛く感じてしまいます
気持ちが向くとどんなものも飛び越えてつながってしまうものなのだ
1巻
(2024/10/07 09:51:03時点 楽天市場調べ-詳細)
話題にするということは、気持ちが向くということで、気持ちが向くとどんなものも飛び越えてつながってしまうものなのだ
この考えは素敵だなと思います
人間は、SNSにしろメールにしろ電話にしろ、何かしらで繋がりを持っていたいのだと思いました
人の真理をついてくる言葉だとつねづね感じます
お化けを生み出すのは、大抵人の心なんだよ
1巻 民俗学かく語りき
(2024/10/06 16:12:10時点 楽天市場調べ-詳細)
高槻「怪異を怪異をたらしめ、お化けを生み出すのは、大抵人の心なんだよ。(中略)怖いものを怖いままで置きたくないから、人はそこに物語を作って与える。」
先生の言葉で印象に残った言葉です
「お化けを生み出すのは、大抵は人の心」
その通りではないかと思いました。怖いから、抽象的なお化けを人は使うんでしょうね。
未知だから怖い。でも未知だから気になってしまう。
この解釈を知ってから、ニュースなどの「分からない」「不安」のコメントに対する受け止め方が変わりました!
4巻 そして異界が開く
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エマ『甘いものは心を落ち着けてくれる。辛いことがあっても、甘いものがあれば、少しだけ大丈夫になれる。(中略)そうよ。甘いものは、心を救うの」
「大丈夫」じゃなくて「大丈夫になれる」っていう表現が好きです
日本人は特に、大丈夫じゃないのに「大丈夫」と心配させないために嘘を言いがちです
「大丈夫になれる」はそんな微妙な気持ちを表した一言だった思います
5巻 生者は語り死者は躍る
(2024/10/06 16:12:10時点 楽天市場調べ-詳細)
好きなものをたくさん増やしなさいって意味だよ。好きなもの、楽しいこと、大事だって思える何か、僕らはそういうものをたくさん持っておくべきなんだ。そういうものが、僕らをこの世界につなぎ止めていてくれる
孤独に呑まれそうになる尚哉に高槻先生の言葉が現実へと引き戻し、立ち上がる勇気を与えました
この言葉を悩める10代に贈りたい。
この世に繋ぎ止めるための、好きなもの、楽しいこと、大事なものを増やしていく
とても大事なことだと思いました
この世が嫌になる時もあるけど、大事なものがあれば、とどまることができる
そんな言葉だと思いました
怪我を言い訳することが恥なんだ
(2024/10/07 06:42:08時点 楽天市場調べ-詳細)
大田くんの回で怪我のエピソードもありましたが、中学生にぜひ読んでもらいたいと思いました
桝井「故障は恥だから」
大田「それは違う。怪我を言い訳にすることが恥なんだ。故障なんてただ運が悪いだけだ。俺、勉強投げだして、たかだか捻挫で駅伝放り出して、昨日の壮行会でもあんなだったけど、でも、失敗したって、ここぞって時には、ちゃんと自分のいる場所にいればそれでいいんだって。」
特に中学生は部活を頑張って怪我をしてしまうことが多いと思います。
「先がある、長いのだから気長に治すべき」と大人は言うけど、彼らには「今」が全てなんですよね。大人だからわかってきたことで、子供の気持ちも分かる。葛藤です
頼るというのは、他人に丸投げするという意味ではない
2巻
(2024/10/06 11:04:21時点 楽天市場調べ-詳細)
頼るというのは、他人に丸投げするという意味ではない。ひとりで持つには重すぎる荷物を、いくらか持ってもらうことだと儂は思う。そうして荷物を持つ苦しみを労いあい、運び終わったときの喜びをともに味わう。それを何の気兼ねもなくできるのが、家族だろう。呆れさせても、怒らせてもいい。よほどでなければ、家族の絆は壊せれりせん
主人公・美世の祖父の言葉です。
確かに、「気兼ねなく」接することができるのは「家族」だけかも。と思いました。
そんな「気兼ねなく接することのできる人」と家族になりたい、という思いが結婚に繋がるのかな。
結婚への考え方が少し変わりました
私の将来を約束してくれない
(2024/10/06 12:20:57時点 楽天市場調べ-詳細)
私の将来を約束してくれない
主人公・優子は、不幸も恐怖もなかっただろうけど、父親と離れた時はいつも寂しさを感じていたのではないかと思います。
寂しさをあらわにしているのは幼い頃でしたが、いつからか生きるためのたくましさが出てきました。
友達に無視されたって、勉強をおろそかにするのはよくない。萌絵や史奈はいい友達だけど、私の将来を約束してはくれない
たくましさを表した一文だと思いました。
これは社会に出てから思うものでもあるのではないかと思うのですが、高校生で友達を最優先にしていないところにたくましさを感じました
「将来を約束してくれない」
確かに!!思い切った考えです。
将来を導いてくれるのは自分であり、その傍らに親がいる三人四脚または二人三脚。
友達は一緒に頑張る戦友
優子がたくましく廃れていないのは、親になってくれた人たちが優子のためになんとかしようと奮起し、明るく照らし穏やかに見守っていてくれたから。とても素敵な人たちです
明日が二つになる
明日が二つになったって
自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくるんだって。親になるって、未来が二倍以上になることだよって。明日ができるなんて、すごいと思わない?未来が倍になるなら絶対にしたいだろう。それってどこでもドア以来の発明だよな。しかもドラえもんは漫画で優子ちゃんは現実にいる。
(中略)
優子ちゃんと暮らし始めて、明日はちゃんと二つになったよ。自分のと、自分のよりずっと大事な明日が、毎日やってくる。すごいよな。
子どもに対して「明日が二つになる」なんて発想は、私にはありませんでした。まだまだ私も 人の子 のままだなと反省。
世の中の親はそんな風に思っているのだろうか。そうな風に思っていなくても、似たような「子どものためならなんだってできる」って気持ちのことだと思います
でも他人の子に「明日が二つになる」って思える森宮さん梨花さんは素敵だ。
この人が主役をする”名脇役”になりたい
(2024/10/06 11:29:36時点 楽天市場調べ-詳細)
三谷「皆、自分の人生の主役になりたいと考えている。それで苦しんでいる。自分もそうだったけど、今はもう違う。蒔野さんの担当になった時、私はこの人が主役をする″名脇役″になりたい。
(中略)
蒔野さんが主演を務める人生に、ずっと、すごく重要な脇役としてキャスティングされ続けるなら、自分の人生はきっと充実したものになってる。」
三谷さんの「名脇役」。とっても素晴らしい考え方だな、と思いました
誰しもが「主人公になりたい」。でもそれは一握りの存在。なかなか自分の思う「主人公」にはなれないと思います
悩み多き人生の分岐点の時「主人公になるべく道はどちらか」と選ぶときはたくさんあるかと思います。
そんな時、三谷さんのような「この人が主役をする″名脇役″になりたい」と思えた時、すごく気持ちが楽になると思うんです。
人生の、物事への考え方も変わったように感じます。
愛は世界なんて救わない
愛は世界なんて救わない。賭けてもいい。愛なんてね、関わった当事者たちしか救わない。救われるのは当事者たちが取捨選択をした結果の対象。
(中略)
僕らが救われるのはそのついでさ。君たちの恋は君たちを救う。僕らは君たちの恋に乗っかって余禄に与かるだけ
「愛が世界を救う」なんて、抽象的で、現実味がない、主人公たちのエピソードしか観ていない現象の結果だと気づきました。
「愛」とは限らないかもしれませんけどね
アニメでのストーリーでは、地球を救うために死力を尽くす戦士たち。
「愛」かもしれないし「友情」かもしれない。
「使命」もある
でも実際に救った側の事情は救った側の当事者にしか分からない。
結果、世界は救われた。
救われたと分かったその他大勢は喜びに浸り、救ってくれた人たちを確実に知ることは不可能に近い。そのまま、なあなあになって日常生活を取り戻そうとする、、、、、。
20歳過ぎの大学生には、「確かにそうだ、、、、、」と納得してしまいました。
「愛は世界を救う」の文字の羅列をそのまま読むことで鵜呑みにしていましたが、本書を読んで考えを改めさせられました。
できることが目的じゃないよ。やってみることが目的なんだ
湖山先生が青山君に水墨を勧める時に言った言葉です
「できることが目的じゃないよ。やってみることが目的なんだ」
と言った湖山先生の言葉がふいに胸によみがえった。湖山先生はあのとき、とてもたいせつなことを教えてくれていたのだ。今いる場所から、想像もつかない場所にたどり着くためには、とにかく歩き出さなければならない。自分の視野や想像の外側にある場所にたどり着くためには、歩き出して、何度も立ち止まって考えて、進み続けなければならない。(第四章 p321)
そしてその言葉は、第四章に繋がっていると思いました
「新しいことを始める」
それは水墨で線を描くように、勇気のいることです
線を描き始める。作品を創り上げること
絵の具のようにはいかない
「一線を描く勇気」「一歩を踏み出す勇気」
それを「やってみること」。それはとても簡単で難しいこと
進学、部活、サークル、社会、会社、転職、習い事
始めることで、やめなければならないこともある
そこに、二の足を踏んでしまうこともあるかもしれない
「新しいことを始める」「二の足を踏んでいる人」に読んでほしいと思いました
生きる方が辛いんだ。
ディートフリート・ブーゲンビリアが、て飛手紙の際に再開したヴァイオレットへ贈った激励です
生きてるほうが辛いんだ。でも、全部呑み込んでそれでも生きろ。出来ない奴から死んでいくだけだ。自分で死ねねえなら、お前の罪も何もかも、誰のせいにもしないで生きろ。生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて、生きて
そして、死ね
真理だと思った
「生きてる方が辛い」
今生きてる人は、辛さを呑み込んで生き抜いている人達
生き抜いている理由を他人のせいにせずに「生きる」
そして天寿を全うすることが、どれだけ難しい事かを考えさせられます